高評価なのに話題に上りにくかった『dele』、他作品とは異なった“観られ方”
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 週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』では、各クールにオンエアされるドラマのなかで「どの作品に期待するか」についてアンケート調査を実施。その結果は「ドラマ期待度」として毎回、本誌とWebで掲載している。この「ドラマ期待度」において、7月期最もポイントが高かった作品が、「深夜枠」で1位を獲得した金曜ナイトドラマ『dele』(テレビ朝日系/金曜23時15分~)だった。「プライム枠」で1位のテレビ朝日系『ハゲタカ』(木曜21時~/80Pt満点中70Pt)をも上回る、80Pt満点中72Ptを獲得。当初は今クール注目度No.1の作品だったのだ。

【グラフ】『dele』のドラマ満足度の推移

◆今期の話題作『グッド・ドクター』『ぎぼむす』に肩を並べる高満足度

 その後、各局作品のオンエアが始まり、石原さとみ主演の『高嶺の花』(日本テレビ系/水曜22時)や、山崎賢人主演『グッド・ドクター』(フジテレビ系/木曜22時)、綾瀬はるか主演『義母と娘のブルース』(TBS系/火曜22時)などがネット上で話題となったのは記憶に新しいところだが、本命と目された『dele』は巷間話題に上ることも少なく、「あれ?」と思った人も少なくなかったのではないだろうか。

『dele』の作品自体の評価は決して低くない。同誌発表のドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」を見ると、全話終了した『dele』の満足度は、累積平均87.6Pt(100Pt満点中の数字、以下同)。これは『グッド・ドクター』の88.8Pt、『義母と娘のブルース』の86.6Pt(『義母~』は9話終了時点)に肩を並べる。ではなぜ、『dele』はネット上で大々的には話題にならなかったのか? それを明らかにすることこそが、このドラマの秘められた魅力を物語ることにつながる。

『dele』が放送されたテレビ朝日系「金曜ナイトドラマ」は、23時15分からのスタートのため、「タイムシフト(録画)」で観られることが多い。過去にオンエアされたドラマを見ても、それは明らか。18年4月クールの松岡昌宏主演『家政婦のミタゾノ』は、【リアルタイム/タイムシフト】の比較で【15.3Pt/17.1Pt】(20Pt満点中の数字、以下同)。18年1月クールの仲里依紗主演『ホリディラブ』は【10.9Pt/11.6Pt】、17年10月クールの玉森裕太主演『重要参考人探偵』は【11.3Pt/14.3Pt】だった。

 それぞれの満足度はどうだろうか。『家政婦のミタゾノ』の全話平均満足度は、【リアルタイム/タイムシフト】で【80.6Pt/80.3Pt】。『ホリディラブ』は【64.5Pt/74.9Pt】、『重要参考人探偵』が【58.0Pt/58.4Pt】。『ホリディラブ』が、同ドラマのファンをタイムシフトにつなげていたことは明らかだが、ほかの2作品には大きな違いはなかった。

 そのような枠に新ドラマとして登場した『dele』の視聴傾向は、これまで同枠で見られた動きとはまったく異なっている。

◆“ながら観”ではなく、しっかりと意志を持って『dele』を観た視聴者

 まず、視聴者が『dele』をリアルタイムとタイムシフトのどちらで観たか?という点については、【12.6Pt/18.2Pt】で圧倒的にタイムシフトに軍配が上がった。満足度はどうだろう。こちらも【83.8Pt/89.2Pt】でタイムシフトが上回る。

 しかし、「主演」や「主演以外のキャスト」「ドラマの内容」における満足度は、リアルタイムだろうがタイムシフトだろうが全く同じ。「好きな俳優が出ているからリアルタイムで」とか「じっくり楽しみたいから」とか「時間があったら観る」ということでタイムシフトが選択された、といった詮索が及ばない結果となっているのだ。なんとなく時間があるから観る、といったふわふわした視聴者ではなく、しっかりとした意志を持ってこのドラマを観ている。そんな視聴者像が思い浮かぶ。

 そこで冒頭の疑問、「『dele』はなぜネットで盛り上がらなかったのか」だが、それについては、「オリコンドラマバリュー」の評価項目の1つ、「話題性」のポイントを、今期話題のドラマと、過去の金曜ナイトドラマの作品で比較するとよくわかる。

◆ツイートするすきを与えない? 複雑で見応えのあるドラマ

「オリコンドラマバリュー」では、「話題性」の数字を決めるにあたり、ドラマのタイトル等で語られているツイート数の量を集計。それを過去1年間に調査対象となっているドラマに関するツイート量と比較のうえ、20Pt満点でポイント化している。『dele』は、ドラマの満足度自体は今クール上位の評価を得ているにも関わらず、ツイート数が驚くほど低い。このツイート量の少なさが、ネット上で話題が拡散しなかった要因なのではないだろうか。

「一筋縄ではいかないストーリー展開が面白い」(東京都/20代女性)、「故人の“デジタルデータを消すこと”をテーマに、よくこんなヒューマンドラマに仕立てられるものだ」(神奈川県/50代男性)、「人生の理不尽なことについても深く考えさせられる」(神奈川県/50代男性)、「デジタル社会の怖さとか、今の時代をうまく映しつつ、最後もあれ?と思う終わり方で面白いし、ぞくっとする」(大阪府/40代女性)という、視聴者の声を聞くにつけ、なんとも表現のしようがない魔力のようなものに引き付けられ、簡単に言葉にできない様子がうかがえる。また、タイムシフトでの視聴者もかなりの数いたため、オンタイムでツイートする意識も低かったのではないと推察する。

 わかりやすい“感動ボタン”が用意されているドラマであれば、それを言葉にしてSNSに投稿することもできるが、『dele』に関しては先のコメントからも読み取れるように、わかりやすさは皆無だ。それほど複雑で興味深いドラマだった、ということは間違いない。

【オリコンドラマバリューとは】
オリコングループの調査システム「オリコン・モニターリサーチ」の登録者から毎週、全国690名の視聴者を対象に、各ドラマの「期待度」「満足度」について、「作品」「主演」「主演以外」「セリフ」「映像」「音楽」「美術」「ストーリー展開」を10点満点で調査。「オリコンドラマバリュー」はその結果を、過去1年間のデータに照らして偏差値化した。「視聴量」「主演」「主演以外」「内容」という4項目に加え、Twitterのツイート量を加えた「話題性」の5項目を各1~20ポイントとし、計100ポイント満点で集計している。

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