『テルマエ・ロマエ』作者、新作連載前の悩み告白「風呂縛りがあるのでそれ以外描けない」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家・ヤマザキマリ氏が15日、都内で行われた、集英社が今秋以降刊行予定の出版物や企画を発表する『2018新刊企画発表会』に出席。3月から『グランドジャンプ』(集英社)で、古代ギリシャ人が主人公のオリンピックをテーマにした新連載『オリンピア・キュクロス』の新連載をスタートしており、現代のオリンピックのあり方に苦言や描き始めた経緯について明かした。

【写真】湊かなえ氏ら11名がノミネートされた芥川・直木賞候補者

 『オリンピア・キュクロス』は、古代ギリシャの壺絵師見習いで草食系オタクの青年が、ある日、村の争いに巻き込まれて思い悩むうちに、なぜか1964年オリンピックに沸く東京に漂着する物語。高度経済成長時代の昭和日本にタイムスリップする時空を超えたコメディーで「『またタイムスリップ物か。古代人が現代に行くのか』と思われる方もいると思いますが、ヒットした『テルマエ・ロマエ』だとどうしても『風呂』という縛りがあるため、『風呂』以外が描けない」と悩みがあったと告白。

 新作が五輪や運動テーマにしているが「私は運動が嫌いでしない。イタリアに長く住んでいますが、サッカーが好きなわけでもない。ただ、無駄に体力だけはありまして、子どもの時からやりたくもないのに幅跳びの選手や100メートル走に出場させられていて…」と苦笑い。

 主人公の壺絵師の設定は「壺絵は古代ギリシャの文明にとって大事なもの。あれのおかげで、古代ギリシャの学術が深められている。その絵師が現代の漫画家のシンクロする部分があるんです。商業、大量生産をしないといけない中で、ほかの人と違う物や魅力のある絵を描かなくてはいけない葛藤の中で自分たちの技を磨いてきた」と説明した。

 2020年には東京五輪が開催されることに対しても「古代のオリンピックは、ギリシャのオリンピアという自然豊かな質素なところで行われていた。今も草原の真ん中に広い競技場などがあるだけで、そこに周りの国々の方が集まって競技を楽しむというコストのかからないシンプルなもの」と時代背景を伝えつつ「ですが今のオリンピックは経済に大きな影響力を与えるイベントとなっていて、私は毎回オリンピックを見る度に『ここに古代ギリシャ人がタイムスリップしたら、なんと思うのだろうか』『競技会がどうしてこんなことになってしまったのか』と常々感じていて、『テルマエ・ロマエ』が終わったら、これを漫画のテーマにしたいなと思っていました」と現代の五輪のあり方に少し疑問もあり、描き始めることにしたと明かした。

 さらに「漫画という形で表現することで、2020年の東京五輪前にみなさんが、『基本的なオリンピックって何だったのか』というのを知っていただけたら本望。古代ギリシャのオリンピックとはどのようなものか、それに向き合うことで現代のオリンピックのあり方と、うまく折り合いを付けた考え方をしていただけたら」と訴えた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事