“落語”に挑戦した俳優たち 岡田将生・山崎育三郎・佐藤健・高橋一生らが熱演
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 NHK総合で12日にスタートしたドラマ『昭和元禄落語心中』(毎週金曜 後10:00、全10回)と、19日公開の映画『億男』の共通点は、俳優が“落語”を演じているところ。『落語心中』では岡田将生、山崎育三郎、竜星涼、『億男』では佐藤健、高橋一生が、劇中で落語に挑戦している。

【写真】映画『億男』モロッコで撮影したシーン

 『昭和元禄落語心中』は、昭和の時代を駆け抜けた江戸落語界の名人の落語人生を描いた、雲田はるこ氏の同名漫画原作。第1回では、岡田が“老齢になった大名人”という設定の有楽亭八雲を演じながら披露した「死神」などが大いに話題になった。岡田・山崎に竜星涼、3人ともクランクインに向けて3ヶ月以上も前から稽古(けいこ)に励んだと伝わっている。

 舞台は昭和50年代。有楽亭八雲は、クールで端正な芸風で他の追随を許さない存在で、「弟子を取らない」と有名だったが、刑務所帰りの青年・与太郎(竜星)が、なぜか弟子入りを許される。八雲の家に住み込み、修行を始めた与太郎は、八雲とその養女・小夏(成海璃子)の深刻な不仲を知る。小夏の実の父は、やはり落語家だった有楽亭助六(山崎)で、母の芸者・みよ吉(大政絢)とともに、昭和30年代に謎めいた事故死を遂げていた。そしてその死を巡り、助六の親友でありライバルでもあった八雲が、これまで隠していたことを小夏たちに語り始める。

 19日放送の第2回では、少年だった八雲と助六が、共に落語の世界に入門した昭和10年代にさかのぼる。同門で修行に明け暮れた少年時代を経て、前座として寄席に出る頃には、日本は戦争の真っ最中。世相をおもんぱかっていくつかの演目が「禁演落語」とされたり、徴兵に怯えたり。不安と葛藤に満ちた日々を経て、昭和20年の夏、突然の終戦。好きな落語を思いっきり演じられる時代がやってくる。若い二人は二ツ目に昇進して、貧乏な共同生活を開始。そして、やがて彼らの運命を変える、孤独な芸者・みよ吉と出会う。落語家たちの話だけに、物語の中でさまざまな落語の演目にふれることができるのも魅力だ。

 一方、『億男』は、映画『告白』や『君の名は。』などの映画製作を手がける川村元気氏の同名小説を、大河ドラマ『龍馬伝』(NHK)、映画『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史監督が映画化。借金を抱え、起死回生とばかりに買った3億円の宝くじが当選し、人生をやり直そうとする矢先に、そのお金を億万長者であったはずの親友に持ち逃げされる不運な主人公・一男(佐藤)が、3億円と親友の行方を求めて、お金と幸せをめぐって大冒険を繰り広げるストーリー。

 一男と3億円を持ち逃げした親友の九十九(高橋)は、大学の落語研究会で意気投合し、親友になった、という背景があり、佐藤も高橋も落語の稽古(けいこ)を積んで撮影に臨んだ。一男と九十九が2人で旅行したエピソードでは、今年1月にモロッコで撮影を敢行。砂漠のど真ん中で、九十九が落語の十八番「芝浜」を披露するという、印象的な場面になっている。高橋も「砂漠で落語を披露したのはとても印象に残っています。そこから落語がどんどん面白くなって、健くんと『この落語が面白い』ってすすめあったりもしていた」と明かしている。

 『億男』で佐藤演じる一男の十八番は「死神」。そして、『昭和元禄落語心中』で山崎演じる助六が「芝浜」を披露するシーンも後々登場する。「死神」も「芝浜」も、古典落語の演目。

 「死神」は、死にたいと思っていた男の前に死神が現れ、病人を助ける方法を教える。男は死神から言われた通りにするとたちまち大金持ちになるが…。ローソクの火を人の命にたとえて、火が消えると寿命が尽きるという噺(はなし)。

 「芝浜」は、仕事嫌いで酒好きの亭主がある日、大金が入った財布を拾う。ますます仕事をしなくなると思った女房は財布を隠し、夢でも見たんじゃないの?とうそをつく。その後、酒をやめて真面目に働くようになった亭主に女房は、うそをついていたことを打ち明け、亭主も立ち直ることができたと女房に感謝する人情噺。

 同じ噺でも演じ手によってまったく印象が異なったり、一度聴いた噺でも二度目に聴いた時には全く違う印象を受けたり。ドラマや映画の中で聴く落語は、それぞれの物語ともリンクして、また違った解釈もできるだろう。『昭和元禄落語心中』や『億男』をきっかけに興味を抱いたら、本物の落語家たちの名演を聴いたり、映像を観たり、寄席や落語海に足を運んでみるのも一興だ。

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