尻用の固形石鹸”恋するおしり” がSNSで話題 「悩み悟られたくない」女性心理に寄り添い開発
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 創業70周年を迎えたペリカン石鹸が販売している『恋するおしり』。 “おしり用石鹸”というキャッチ―な発想と、肌を直洗い出来るハート形のフォルム、「おしりがツルツルになる!」という口コミが、SNSを中心に話題を呼んでいる。ハンドソープやボディソープなど、石鹸は液体が主流だが、最近は若い世代を中心に固形石鹸の人気も高まっているという。そこで『恋するおしり』の開発秘話と固形石鹸の人気の秘密について、ペリカン石鹸の本間淳子さん、山口未央さん、加茂しおりさんに話を聞いた。

【写真】考えた人天才!ヒップを直洗い可能なあの形とは……。こんな場所まで?人気の部位別ソープも

■「悩みが前面に表現されないように」ネーミングにもこだわった“おしり用”石鹸

 ペリカン石鹸では、商品の企画、開発はもちろん、デザインやパッケージ、カタログ、営業支援まで1人の社員が一貫してプロデュースするという。だから企画段階から発売後までコンセプトがずれることなく、等身大の女性の思いが詰まった商品に共感する消費者が多いのかもしれない。SNSで話題になった『恋するおしり』は、山口さんが企画から担当し、2016年に発売した商品だという。

 「発売当初からご好評いただいていましたが、2017年にコスメ専門サイトの“バストアップ・ヒップケア部門”で口コミ1位に選んでいただいてから一気に注目され始め、今では在庫不足でお問い合わせが来るくらい人気があります。一日中座りっぱなしの人も多く、下着やストッキングなどの摩擦によって、おしりは意外と負担が大きいのです。黒ずみやザラつき、ブツブツなどの肌悩みを解決したいという思いから『恋するおしり』を企画しました。おしりは皮膚が厚いので、それなりの大きさのスクラブじゃないと効果を得られにくい、それでいて皮膚を傷めないものにこだわりました。おしりにぴったりのスクラブを何度も何度も試し、1年くらいかけて何十回も試作を行いました」(山口さん)

 ピーチのようなおしりのような形で、手で握りやすく、とがった部分やへこんだ部分を肌に当てて直洗いすることでマッサージ効果も期待できるのが特徴だ。ネーミングにもこだわり、“ヒップケアということがわかる”ことはマストだったが、悩みが全面的に表現されていると「おしりで悩んでいるんだ」と思われたくない女性が手に取りにくいと思い、“恋する”というキャッチ―な言葉で女性に共感されることを目指した。SNSでの反応が、それが正解だったことを示している。


■「石鹸で解決できる女性の悩みは、すべて取り除いてあげたい」“部位別石鹸”への想い

 ペリカン石鹸は『恋するおしり』以外にも、“背中用”、“二の腕用”、“小鼻用”など、部位別にこだわった石鹸を数多く発売しているが、液体石鹸にシェアを奪われていた固形石鹸の“起死回生の策”なのだろうか?

 「ペリカン石鹸では70年間とくに固形石鹸にこだわって商品を開発していますが、部位別石鹸の販売が“起死回生の策”ということではないんです。ペリカン石鹸の商品を企画しているのは全員女性なので、『恋するおしり』開発の話にもあったように、『石鹸で解決できる女性の悩みをすべて取り除いてあげたい』と考えていたら、部位別石鹸が増えてしまったというだけなんです」(加茂さん)

 ペリカン石鹸が販売した最初の部位別石鹸は、2012年に発売した『For Back』という背中用の石鹸。企画に携わる社員が、電車でみかけた女性の背中のざらつきが気になったことが開発のきっかけだったという。このほかにも二の腕向けの『二の腕ザラザラを洗う重曹石けん』小鼻の黒ずみ用『ドットウォッシー』など、“部位別石鹸”は多岐にわたる。


■固形石鹸を知らない若い世代が支持 “自分で泡立てる”が大切なひとときに

 固形石鹸の歴史は長く、5000年前から使われているとも言われている。現代でも液体石鹸よりもずいぶん前から浸透しているため、どちらかというと年配の方が使うイメージという方も多いのではないだろうか。しかし、現在固形石鹸を支持しているのは20代、30代が主だという。新しいマーケットを開けたことで、その売上は伸びているのだろうか?

 「固形石鹸の需要は確実に伸びています。若い女性に支持されている理由としては、彼女たちにとっては液体石鹸が“普通”で、固形石鹸の方が珍しい存在。これまで泡立てる手間などを感じることがなかったと思うんです。そこで、丁寧に泡立てている時間や、きれいになるために泡立てるというひと手間が“逆に新鮮”なのではと分析しています」(本間さん)

 固形石鹸は、環境にも体にもやさしい上、練って固めていることから、成分をきれいに分散することが可能。スクラブ入りの石鹸をそのまま肌に滑らせることでマッサージ効果を高めることもできるんだとか。また、水分が全体の10%ほどと少ないので分離する恐れもなく、液体石鹸と比べて香りの要素を強めることも可能なんだそう。クローゼットの香りづけに使っているユーザの声も聞こえてくるそうだ。

 このように広い用途で注目されている固形石鹸。女性の悩みを解決したいという思いを多角的な視点から形にし、“いま求められているもの”を商品化できたことで、新たなターゲットに注目されているようだ。馴染みの深い世代にとって固形石鹸は“古き良きもの”だが、それらが形を変えて新しい世代に支持される“アナログ回帰”に近いのブームなのかもしれない。

(文/高田薫)

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