イタくてほろ苦い青春ムービー『レディ・バード』 『シング・ストリート』との共通点
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 男子の青春ムービーの傑作に、『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』などのジョン・カーニー監督の半自伝的物語『シング・ストリート 未来へのうた』(2016年)があったが、そのガールズ版ともいえるのが今年度のアカデミー賞5部門ノミネート『レディ・バード』だ。女優グレタ・ガーウィグが初めて単独で監督を務め、脚本も手がけた作品で、17歳のヒロインの、高校生活最後の1年間を瑞々しく描いた物語は、ガーウィング自身が反映されているという。

【写真】映画『レディ・バード』パッケージや場面写真

 『シング・ストリート』は、1985年のアイルランド・ダブリンを舞台に、14歳の少年が、ある日出会った年上の女性に一目惚れし、その女性を振り向かせるためにバンドを組んで、最高のミュージック・ビデオを撮ろうと頑張っていく話だった。劇中バンドの楽曲(オリジナルスコア)のほかに、デュラン・デュラン、ザ・キュア、a~ha、ザ・クラッシュ、ザ・ジャムなどの80年代ブリティッシュサウンドが映画を彩った。

 一方、『レディ・バード』は、2002 年、カリフォルニア州サクラメントが舞台。閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン。自称“レディ・バード”。高校生活最後の1年、友達や彼氏や家族について、そして自分の将来について、ティーンエイジャーの等身大の痛みや希望が詰まったストーリーが展開する。都会に憧れる娘と将来を心配する母による、誰もがグッとくる母娘の心温まるドラマでもある。

 主演のシアーシャ・ローナンは、本作で見事ゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞。アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされた。そして、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で数々の助演男優賞を受賞したルーカス・ヘッジズが一人目の彼氏、『君の名前で僕を呼んで』の新星ティモシー・シャラメが二人目の彼氏を演じている。

 音楽は、ジョン・ブライオン(『マグノリア』『エターナル・サンシャイン』)によるオリジナルスコアに加え、アラニス・モリセット「ハンド・イン・マイ・ポケット」やデイヴ・マシューズ・バンド「クラッシュ・イントゥ・ミー」など、数々の楽曲がヒロインのフェイバリット・ソングとして挿入される。

 『シング・ストリート』に登場する主に女の子たちの80年代ファッションも魅力的だったが、『レディ・バード』のピンクの髪で自己主張する主人公のファッションや部屋のインテリアも楽しい。

 劇中の音楽で当時を思い出して「自分にもそんなことがあった」と共感できる世代だけでなく、当時を知らない世代の心も掴んで、ヒットしたのがこの2作。ちょっとイタい青春時代が描かれているのだが、誰にとっても青春なんてものは振り返ればちょっぴりイタいもので、ほろ苦いものなのかもしれない。

 『レディ・バード』は21日よりBlue-ray+DVDセットが発売中。

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