◆著作物の二次使用について

上毛新聞の記事・写真・書籍(著作物)の使用については、著作権法(第20条・第48条)で保護されています。紙面、ウェブサイトに掲載された記事、写真、イラスト等を使用する場合は、上毛新聞社の許諾が必要となります。使用規定の順守をお願いします。

◆使用許諾条件

次の各項を順守することを条件に許諾いたします

  1. 報道の自由を侵害したり、上毛新聞の信用や品位を傷つけない
  2. 出所を明示する
  3. 記事等を許可なく改変(追加・挿入・削除)しない
  4. 当事者等に限り転載を認める
  5. 申請書に記入以外の目的では使用できない
  6. 使用の際には必ず「上毛新聞社提供」または「上毛新聞○年○月○日付」のクレジットを入れる

◆対象

上毛新聞社に著作権があるものに限る

◆以下の場合、著作物の提供・許諾が不可となります

  1. 保存紙原本、新聞製版、写真データ
  2. 肖像権に抵触する恐れのある写真、事件事故などプライバシーや人権保護の必要がある記事や写真
  3. 裁判や政治・選挙活動、布教目的、訴訟目的、誹謗中傷に使われる恐れのある場合
  4. 共同通信社、時事通信社など他社からの配信記事、写真等
  5. コラムなどの依頼原稿、読者の寄稿、社員以外の執筆者による記事または写真の著作物は、申請者が著作権所有者の許諾を取る必要があります
  6. 申請者の過去に上記違反があった場合
  7. そのほか当社判断により不適当な場合

◆使用手続き

使用を希望される場合は、専用フォームから申請いただくか、弊社指定の「著作物使用許諾申請書」を提出ください。

◆使用料

  1. 原則有料。使用目的により金額が異なります。料金表を参考にしてください。
  2. 許諾後は使用の有無に関わらず料金が発生し、使用を取りやめた場合も料金の減額には応じられません。
  3. 記事の掲載日や内容が不明で、調査が必要な場合は調査費をいただきます。
  4. 著作権保護期間が終了している著作物を提供する場合は、データ提供料として準用します。

 

二次使用の料金表

【1記事あたり】 (令和元年7月作成)単位:円
使用媒体 法人・団体 教育機関 非営利・個人
すべて無料の広報誌、社内報、記念誌、パンフレット(紙)、パネル展示、資料用DVD 5,500 3,300 2,200
販売出版物(書籍・雑誌)※部数により変動 11,000~22,000 5,500 -
フリーペーパー、ミニコミ誌 5,500 - 3,300
テレビ放映 ※放送規模により変動 11,000~22,000 - -
ラジオ放送 5,500~11,000 - -
新聞社 ※全国紙、地方紙等で変動 5,500~11,000 - -
ホームページ掲載(1年)※以後年数分 11,000 5,500 5,500
  • 表示価格は消費税込価格です
  • 個人の場合でも営利目的では法人・団体の料金となります
  • 複数の記事、写真を使用する場合はご相談ください
  • 掲載日不明の記事を弊社で検索する場合は、別途検索料をいただきます
【1写真あたり】 (令和元年7月作成)単位:円
使用媒体 法人・団体 教育機関 非営利・個人
すべて無料の広報誌、社内報、記念誌、パンフレット(紙)、パネル展示、資料用DVD 11,000 5,500 5,500
販売出版物(書籍・雑誌)※部数により変動 16,500~22,000 11,000 -
フリーペーパー、ミニコミ誌 5,500 - 3,300
テレビ放映 ※放送規模により変動 11,000~33,000 - -
新聞社 ※全国紙、地方紙等で変動 11,000~16,500 - -
ホームページ掲載(1年)※以後年数分 22,000 5,500 11,000
  • 表示価格は消費税込価格です
  • 個人の場合でも営利目的では法人・団体の料金となります
  • 複数の記事、写真を使用する場合はご相談ください
  • 掲載日不明の記事を弊社で検索する場合は、別途検索料をいただきます
  • 写真内容(希少写真など)によっては、上記料金適用外になる場合があります

 

ネットワーク上の著作権について
――新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に――

1997年11月
日本新聞協会編集委員会

[要約]

最近、新聞・通信社が新聞や電子メディアで発信する記事・写真などの情報を、インターネット上などで無断利用する事例がかなり目に付きます。無断で利用する人の多くは著作権問題があることに気が付いていないか、気が付いていても「個人のページに載せるのだから」「営利を目的とするわけではないから」といった理由で、「認められるだろう」と安易に考えているようです。

しかし、新聞・通信社が発信するほとんどの情報には著作権があります。利用のルールは、インターネットなどの電子メディアの上でも、基本的には紙の上の場合と変わりありません。新聞・通信社が発信した情報を、インターネットなどの電子的なメディアで利用を希望される場合には、必ず発信元の新聞・通信社に連絡、ご相談くださるようお願いします。

[本文]

新聞・通信社が発信する情報をネットワーク上でご利用の皆様に

最近、新聞・通信社が新聞や電子メディアで発信する記事・写真などの情報をインターネット上などで無断利用する事例がかなり目につきます。無断で利用する人の多くは著作権問題があることに気が付いていないか、気が付いていても「個人のページに載せるのだから」「営利を目的とするわけではないから」という理由で、「認められるだろう」と安易に考えているようです。

しかし、新聞・通信社が発信するほとんどの情報には著作権があります。著作権法では、新聞や報道にかかわるいくつかの事項について、一部自由に使えるような規定もありますが、原則として利用する際には承諾が必要なのです。

新聞記事と著作権とのかかわりについて、日本新聞協会は1978年(昭和53年)に「新聞著作権に関する日本新聞協会編集委員会の見解」をまとめ、基本的な立場を明らかにして以来、新聞著作権の理解促進と普及活動に取り組んでいます。しかしながら、急速なインターネットの普及と、それに伴う企業や個人の発信の急増で、情報利用の環境は大幅に変わってきました。

インターネットは当初、コンピューターに蓄積した情報を「共有して利用する」という考え方から出発したため、どちらかと言えば「ネット上に公開された情報の利用は自由であるべきだ」との主張をする人たちがいます。しかし、インターネット上に表現されたものにも著作権が働いているのです。新聞協会編集委員会はこうした考え方に沿って、改めて新聞や電子メディア上で発信している情報のネットワークでの利用に関する見解をまとめました。

自由で民主的な社会を維持し、発展させていくためには、新聞が社会生活の様々な場所にある多様な情報や意見を幅広く収集し、世の中に伝達していくことが必要です。新聞はこうした国民の知る権利にこたえるべく、様々な形で情報を発信しています。情報の信頼性を確保するためには、著作権を尊重し、ルールに基づいて利用することが大切です。

インターネット上での著作物の利用も、基本的には印刷刊行物やテレビなどでの利用の場合と変わりありません。新聞・通信社が発信する情報の利用を希望される場合には、必ず発信元の新聞・通信社に連絡、ご相談ください。

 

記事や写真を無断でホームページに転載すれば、著作権侵害になります

著作権法では、著作権者の承諾を得なくても著作物を利用できる行為として、第30条で「私的使用のための複製」を認めています。私的使用とは、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」と規定されており、一般的には私的使用を目的として、著作物を使用する本人が複製することは著作権侵害には当たりません。

しかし、「営利を目的とせず、個人として楽しみで作っている」にしても、インターネット上のホームページには、世界中のどこからでもアクセスすることができます。家族とか親戚、友人といった狭い範囲にはとどまらず、見知らぬ人も含めて大勢の人がホームページに接してきます。インターネットで発信するということは、活字の世界に当てはめれば本や雑誌を出版することと同じ意味合いをもちます。多数の人に読んでもらうことを目的に情報を発信しているわけですから、私的使用とは言えません。電子メールでも、大勢の人を対象に送信する場合は私信とは言えません。

また、ホームページに他人の著作物を転載することは、著作権法では「公衆送信権」や「送信可能化権」に触れることになります。インターネットの発信に伴うこれらの権利関係については、「インターネット時代の著作権法」の項で説明します。

 

lanやイントラネットの上で利用するには、著作権者の承諾が必要です

企業や団体などがlan(企業内または構内の通信網)やイントラネットといった内部ネットワークを構築するケースが増えています。こうした内部ネットワークに、経済や社会全体の動向、業界や自分の会社のことなどが取り上げられたニュースをクリッピングして社員などに周知させたい、という希望も新聞・通信社に寄せられるようになりました。こうした利用の場合でも、限定された企業内で社員の一人ひとりが自分で見るだけだからといって私的使用だということにはなりません。

大学などで、「研究や教育を目的としているから」という理由で、情報を無断で利用するケースも散見されますが、やはり著作権法に触れます。研究者や学生が利用しやすいよう、一般に公開しているホームページに転載すれば、世界中どこからでもその情報を見ることができます。企業や大学で、id・パスワードを使ってアクセスできる人を制限したとしても、私的使用の範囲を超えることになります。必ず著作権者に連絡し、承諾を得ることが必要です。

 

ニュース記事には、著作権が働いています

「著作物」とはどのようなものを指すかを例示した著作権法第10条では、「言語の著作物」「写真の著作物」を定めています。新聞・通信社が新聞や電子メディアで発信する記事などの情報、報道写真はこれに該当します。なお、第2項で「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、・・・著作物に該当しない」と規定しているため、「新聞記事には著作権はない」と早飲み込みしている人も多いようですが、ここでは、「事実の伝達にすぎない」という形容詞が付いていることにご注意ください。実際は、新聞・通信社が発信している情報には、原則的に著作権が働いています。

著作権法は1971年に旧法から現在の法律に移りました。所管の文化庁は新法の施行に伴い、「『事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道』とは、いわゆる人事往来、死亡記事、火事、交通事故に関する日々のニュース等単に事実をら列したにすぎない記事など、著作物性を有しないものをいうのであって、一般報道記事や報道写真はこれに該当せず、著作物として保護されるべきものである」と説明しています。

「だれが、いつ、どこで、どんな死因で、死去した。何歳だった」というだけの死亡記事や、「いつ、どこで、だれの車が、だれそれの車と衝突し、だれそれは重傷」といった簡単な交通事故の記事は、公式に発表された事実関係だけを記述しただけですから、だれが書いても、あるいはどの新聞社が記事にしても、記事の書き方にはほとんど差がありません。しかし、死亡記事であっても、故人がどんな人で、どのような業績があったのかに触れたり故人を追悼する気持ちを出そうとしたものや、交通事故でも事故の背景や周辺の様子などを記述していれば、単なる事実の伝達を超え、記者ごとの特徴を反映した記事になります。著作権法では、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義(第2条の1号)しており、記者によって表現に差が出るような記事は、著作物の条件に当てはまると言えます。

解説記事はもちろん、一般のニュース記事も、通常はその事実を伝える記者の価値判断、視点を伴っており、また、背景説明や、取材の過程で見聞した事実を取捨選択し、記者の個性を反映した表現で書かれています。さらに最近は紙面上のレイアウトにも高度な創意が加えられています。従って、文字テキストだけの形で取り出す記事も、新聞に掲載されたままの切り抜きスタイルにしても、著作権法で保護されるべき著作物であると言えます。また、報道写真は当然、著作権法第10条8号で例示されている「写真の著作物」に当たり、無断利用は認められません。

 

引用して利用する場合には、いろいろな条件を守る必要があります

著作権法第32条は「公表された著作物は、引用して利用することができる」としています。この規定に基づく引用は広く行われていますが、中には、記事をまるごと転載したあと、「○年○月○日の□□新聞朝刊社会面から引用」などとして、これに対する自分の意見を付けているケースも見受けられます。また、記事全文を使えば「転載」(複製)だが一部だけなら「引用」だ、と考えている人も多いように思われます。

しかし、著作権法第32条は、「この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」という枠をはめています。

この規定に当てはめると、引用には、報道、批評、研究その他の目的に照らして、対象となった著作物を引用する必然性があり、引用の範囲にも合理性や必然性があることが必要で、必要最低限の範囲を超えて引用することは認められません。また、通常は質的にも量的にも、引用先が「主」、引用部分が「従」という主従の関係にあるという条件を満たしていなければいけないとされています。つまり、まず自らの創作性をもった著作物があることが前提条件であり、そこに補強材料として原典を引用してきている、という質的な問題の主従関係と、分量としても引用部分の方が地の文より少ないという関係にないといけません。

表記の方法としては、引用部分を「」(カギかっこ)でくくるなど、本文と引用部分が区別できるようにすることが必要です。引用に際しては、原文のまま取り込むことが必要であり、書き換えたり、削ったりすると同一性保持権を侵害する可能性があります。また著作権法第48条は「著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない」と定めています。新聞記事の場合、「○年○月○日の□□新聞朝刊」などの記載が必要です。

 

要約紹介であっても、無断で行えば著作権を侵害することになります

「引用」という条件には当てはまらないが、「ニュース報道があったことを紹介したいので、内容を要約して紹介することは認められるだろうか」と相談を受けることがあります。

一般的には、著作物を要約することは著作権法上の「翻案」に当たり、著作権者の承諾が必要とされます。しかし、要約といってもいろいろな方法があり、簡単に決めつけるわけにはいきません。通常は、原作品の内容がほぼつかめてしまい、原作品に触れなくてもすむような形でダイジェストしたものは翻案であり、作品自体の存在を知らせる目的で作られるごく短い要旨等の抄録は翻案には当たらないと言われます。記事の内容を要約し、ダイジェストとしてホームページに掲載する場合は、著作権者の承諾が必要です。

見出しは、記事のタイトルであると同時に、記事内容の要旨・要約にも当たるため、著作権法上の扱いは微妙です。一つ二つといった限られた数の記事について、見出しの一部を取り上げた程度の要旨と新聞名、掲載年月日だけを載せるなら、一応は記事があったことを知らせるだけの抄録ということもできそうです。しかし、見出しにも新聞社としての創意・工夫がこめられており、著作物であるという解釈もあります。テーマ別などでまとまった数の記事について見出しだけを並べることには、別の問題も出てきます。新聞社はオンライン上などで記事データベースを一般に提供しており、テーマ別の見出しの集合はデータベースから引き出せるデータの一部にも当たります。また、新聞では、1面、2面、社会面など各面への記事の配置、配列、扱い方(大きさ)などには新聞社としての判断が強く働いており、見出しの集合は編集著作物の一部という側面もあります。見出しだけを新聞社の選択・配置の通り紹介した場合には、著作権侵害に当たるとした判例も出ています。

 

インターネット時代に合わせ、著作権法が改正されました

インターネット時代に対応するための著作権法改正が1997年6月に成立し、1998年1月1日から施行されます。これは、世界知的所有権機関(wipo)が、デジタル・ネットワーク時代に対応した国際的な著作権のあり方を検討し、「wipo著作権条約」「wipo実演・レコード条約」の二つの新条約を採択したのを受けたもので、インターネットなどを通じて行われるインタラクティブ送信を「自動公衆送信」と名付け、インターネットに接続しているサーバーに情報を記録・入力したり、情報を入力したサーバーをネットワークに接続したりする行為を「送信可能化」と呼ぶことにしました。そして、著作者やレコード製作者・実演家に「送信可能化権」という新しい権利を与えたのが特徴です。

文化庁は、インターネットなどへの著作物の利用については「これまでも複製権などで著作権者の権利が保護されていた」としていますが、理論的には著作権者の権利にわずかなすき間ができていました。今回の改正はこのすき間を埋め、インターネットに他人の著作物を利用する場合には、どのような形でサーバーに入力しようとも、ネットに接続する時点で公衆送信権が働き、著作権者の承諾が必要であることを明確にしたものと言えます。

 

新聞・通信社が発信する情報をご利用の際は、必ず発信元にご連絡ください

新聞・通信社は、日々の情報発信に当たって、収集、蓄積した情報をより豊富に掲載するだけでなく、公正を旨として、より適切、より正確な記事とするよう創意・工夫を重ねていますが、メディア環境は、新聞製作など出版業のコンピューター化が進み、ネットワークを通じての情報発信への傾斜が強まるとともに、放送のデジタル化と合わせて通信と放送の融合も進むなど急激な変容を続けています。その中で、新聞・通信社のホームページが日本における代表的なサイトに成長するなど、各社とも技術進歩の先頭に立って一層の努力を重ねています。

一方、新聞は公共的な使命を負った報道機関としての立場から、各種記事を印刷物や放送素材として利用したいとのご要望に対しては、できるだけこたえるようにしてきました。しかしながら、デジタル化された情報は、簡単に複製でき、何回複製しても品質は劣化しません。ネットワークに載せることで、情報は瞬時に世界中からアクセスできるようになり、また受け取った情報を加工して送り出すことも可能となるなど、情報のインタラクティブなやりとりができるようになります。著作物の転載を認めた場合、2次、3次、4次と情報がどのように波及していくのか具体的な像は描きにくく、著作権者としてどう考えたらよいかの明確な基準もまだできていません。

このため、新聞やインターネット上などに掲載したニュース記事や報道写真などを、インターネットや企業内ネットワーク(lan)などに転載したい、という要望が出た場合、どう対応するかについての考え方は、新聞社によってまちまちです。

新聞・通信社が発信する記事、ニュース速報、写真、図版類には著作権があり、無断で使用すれば、著作権侵害になります。使用を希望する場合には著作権者の承諾が欠かせません。引用や、記事の要旨紹介などで、法的には著作権者の承諾なく使えるというケースでも、本当にその条件を満たしているかどうか、微妙な場合も少なくありません。また、インターネットの特徴の一つであるリンクについても、表示の仕方によっては、問題が発生する可能性がある場合も少なくありません。

利用者の側が、情報をどのような形で利用しようとしているか、動機も、利用形態もまちまちなため、新聞・通信社としても、個々の事情をうかがわないと利用を承諾していいものかどうか、一般論としてだけでは結論をお伝えすることはむずかしい側面もあります。リンクや引用の場合も含め、インターネットやlanの上での利用を希望されるときは、まず、発信元の新聞・通信社に連絡、ご相談をしていただくよう、お願いします。

 

以  上

 

新聞著作権に関する日本新聞協会編集委員会の見解

1978年5月
日本新聞協会編集委員会

はじめに

日本新聞協会では、旧著作権法施行下の昭和38年11月に「著作権問題の基本的な考え方」をまとめ、当時の著作権制度審議会に提出したほか、昭和44年11月には、「時事問題に関する論説等」(旧著作権法第20条、現行法第39条)について意見を表明するなど、過去2回にわたって、新聞著作権についての基本的な見解を明らかにしてきた。

しかしながら、これらはいずれも旧著作権法に基づいた考え方であり、昭和46年の新法施行以降、著作権に対する社会的関心と理解が急速に高まりつつある現在においては、いささか現実に適合し得ない面もあるかと思われる。よって新聞界としては、これを機会に新著作権法の条文に沿いながら、あらためてその基本的な立場を明らかにし、これを新聞界内外の公正な慣行として確立したいと考える。

 

<著作権問題に関する新聞界の基本的な考え方>

周知の通り、自由で民主的な社会の維持とその発展のためには、新聞が社会生活に必要な情報や意見をできるだけ広く国民大衆に伝達することが不可欠の条件である。特に、現代社会のように、生活環境が多様化し、価値観が多元化しつつある状況にあっては、その報道・評論活動を通じて、社会の各階層、各個人あるいは集団間における情報と意見の自由な交流を促進するための“共通の広場”を形成することが、新聞に強く要請されている。今日の新聞がこの公共的使命にこたえて、社会生活のあらゆる分野に生起する多様な情報・資料ならびに意見を可能な限り幅広く収集し、紹介する努力を重ねていることは知られる通りである。

すなわち、日々の紙面づくりに当たっては、読者大衆の欲求と期待に沿って、収集、蓄積した情報をより豊富に掲載すべく努めているばかりでなく、独自の価値判断に基づいて、より適切、より正確な記事とするための創意、工夫もあわせ行っている。

かねて、新聞は、このように高度に独創的な著作物性を有する各種記事のうち、特に解説・論説などについては、報道・教育など純然たる公共目的である限り、適正な範囲で他に引用、転載されることは原則的には容認するとの態度を示してきた。これは、繰り返すまでもなく、可能な限りの手段を通じて国民大衆に多様な情報と意見を提示することが、自由で民主的な社会を存立させていくための要件であり、新聞の公共的使命であるとの考えに基づくものである。しかるに、近年、高度の能率性を備えた複写機器の飛躍的な発展と著しい普及により、報道・評論活動を主たる業務としない者が、もっぱら営利を目的として、著作物として保護されている新聞記事を無断で複製、編集し、これを一般に頒布、もしくは、特定集団内の情報サービスとして組織的に利用するなどの傾向が顕著である。

新聞は、国民大衆の負託にこたえて多様な情報と意見を社会に提供しているが、その責務を果たすために収集した情報の処理、加工に新聞社の全機能を傾けて各種記事を作成している。のみならず、今日においては、すでにコンピューターを中核とする情報処理も現実化しており、研究開発を進めているデータバンク、家庭ファクシミリ等を通じて、近い将来、新聞の収集した情報は国民大衆にさらに身近になり、いっそう活用されるものと期待される。このような観点からすれば、新聞の得た情報が営利を目的として無断で利用されることは、その社会的、文化的、経済的価値が著しく損なわれることを意味しており、著作権法の精神に照らして到底認容しがたいものといわねばならない。

以上の趣旨から、日本新聞協会編集委員会は、ここに新聞界内部で確立された考え方を明らかにし、あわせて将来にわたる問題点をも指摘することとしたい。

 

新聞に掲載される記事を現行著作権法の規定に基づき分類すると以下の3点に大別される。

  1. 著作権のないもの(「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」著作権法第10条第2項)
  2. 著作権はあるが、報道、学術、研究など社会公共目的に沿って自由利用できるもの(「時事問題に関する論説」同第39条)
  3. 常に著作権保護の対象となるもの(報道・評論・解説などの一般記事、報道写真、図案、編集著作物)

新聞著作権に関する新聞界の考え方を著作権法の条項に沿って以下の通り明らかにする。

 

第10条(著作物の例示 写真<報道写真>

現行著作権法第10条は著作権の保護を受ける各種の著作物を例示しているが、この中に「写真の著作物」を含めている。新聞、通信、放送各社が撮影する報道写真はこの「写真の著作物」に該当する。従って特に報道写真を他が使用する場合は当該社の許諾を求める必要がある。いかなる報道写真も自由利用が認められない。

 

第10条2項(事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道)

旧著作権法の条文では「新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事」は著作権の対象にはしないという考え方をとっていたが、現行法ではこれを「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」に限って著作権はないとしている。この新旧両条文を対比すると、新法では「事実の伝達にすぎない」という限定句が加わっており、自由に利用できるニュース記事の内容をより狭く制限していると考えるのが妥当である。次に「事実の伝達にすぎない」報道記事とは具体的にどの範囲までを指すのかが問題になるが、この点法案作成に当たった文化庁の見解として「『事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道』とは、いわゆる人事往来、死亡記事、火事、交通事故等に関する日々のニュース等そのものが著作物性を有しないものをいうのであって、一般の報道記事や報道写真はこれに該当せず、著作物として保護されるものである」(1970年6月『新しい著作権法の概要』)との行政解釈が示されている。

この文化庁の考え方を適用すると、自由に利用できるニュース・報道記事は、極言すれば単純なストレートニュースにおける事実関係を追った記事だけに限定され、当該事件を構成する要因、背景または取材過程で見聞した事実などを伴った報道記事は、当然著作権の保護を受ける対象になると解釈するのが妥当である。最近の紙面における記事は背景説明の伴った解説的なもの、あるいは記者の主観、感情等を織り込んだ記事が多く、紙面構成上も高度な創意・工夫がはかられており、独創的な紙面づくりが行われているのが実情である。

従って報道記事の大半は、現行著作権法に規定される“著作物”に該当すると考えるのが適当であり、これらの記事を他が複製、転載する際には当該社の許諾を得て正当な範囲内で利用されなければならない。

 

第12条(編集著作物)

現行著作権法第12条では「編集物でその素材の選択又は配列によって創作性を有するもの」は編集著作物として著作権法上保護されると規定している。同規定は多数の著作物を適法に編集した者は著作者とみなし、その編集物全体について著作権を認めるという趣旨のものである。新聞界では新聞の紙面全体がここでいう編集著作物に当たるほか、政治面、社会面など各面も同様に編集著作物であるとして著作権の保護を受けるものと解釈している。これは整理記者のレイアウトによって見出しや写真等が配列され、紙面構成が行われている点を考えると、同条項でいう素材の選択、配列によって創作性を有するのは当然だとするのが、その根拠である。従って複写機器によって紙面の全体もしくはその一部を無断で複製した場合、例えば企業が自社製品の記事が掲載された紙面を複製し、これを商品prとして使ったり、同様の手段により1冊の本にまとめて販売するなどの行為は、編集著作物としての著作権を侵害したことになると考える。

また、この場合、当該紙面に収録されている個々の記事、写真の著作権を侵害していることはいうまでもない。

 

第30条(私的使用のための複製)

現行著作権法の主要な改正点のひとつは、著作物の自由利用の条件を厳格に規定し、著作権の権利を不当に害さないよう『著作権の制限規定』の整備が行われていることである。現行著作権法第30条「私的使用のための複製」もこの『制限規定』に該当し、同条項のほかには、「図書館等における複製」(著作権法第31条)、「学校その他の教育機関における複製」(同第35条)、「点字による複製」(同第37条)などいずれも社会公共的な目的に限って著作物の複製が認められており、純然たる営利目的による複製とは明確に区別されている。本条項の私的使用のための複製に関し著作権審議会第4小委員会(複写、複製関係)では昭和51年9月にその報告書の中で考え方を明らかにしているので以下にこれを引用する。

「個人的な立場において又は私的な場である家庭もしくはこれと同一視し得る閉鎖的な範囲(例えば親密な少数の友人間)内において使用するための著作物の複製を許容したものであり、例えば、企業その他の団体内において従業員が業務上利用するため著作物を複製する場合には、仮に従業員のみが利用する場合であっても、許容されるものではない」  また、「私的使用のための複製」行為に関しては、昭和52年7月東京地裁は「企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、その目的が個人的な使用にあるとはいえず、かつ家庭内に準ずる限られた範囲内における使用にあるとはいえない」と判示している。

以上の見解でもわかるように「私的使用のための複製」は個人またはごく少数のグループが私的に研究したり、情報の素材として利用するなどを認めたもので、きわめて限定的に解釈すべきである。

すなわち、以下例示するようなケースはいずれもこの条項に照らして新聞著作権を侵害するものと解する。

  1. 報道、評論活動を主たる業務としない者が営利を目的として無断で新聞記事を転載、編集して配布するなどの行為。
  2. 企業が部課単位で当該企業に関連ある情報の収集や分析のために記事、紙面を複製するなどの行為。
  3. 団体が会員サービスの一環として記事、紙面を複製、これを無断で配布したりするなどの行為。

 

第32条(引用)

現行著作権法第32条では公の著作物を引用して利用できることを明記するとともに、その範囲について「その引用は公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」と規定している。

本条項は民主主義社会における言論、学術、文化の発展と多様性を保障する立場から立法化されたもので、言論・表現の自由に関連する基本的条項とみなすことができる。

新聞も言論・報道機関としての機能を発揮するため、他の新聞、雑誌などを通じ報道・評論活動に必要な情報や判断の資料を入手し、これを引用、紹介し、多様な情報と意見を国民に提供している。

現行の著作権法では「引用の目的上正当な範囲内」と規定しているだけで、具体的な基準は明確にされていないが、新聞各社が紙面に引用する場合は「報道・評論の目的に沿った範囲内」とするのが一応の基準となっている。一方、新聞の著作物を他が引用する場合にも本条項の精神に合致した目的で、正当な範囲内であればこれを容認するというのが、新聞界の基本的な態度である。ところが近年、この引用規定を不当に拡大解釈し、紙面に掲載された記事の大半を使用し、これをダイジェスト版として有代で頒布するなどの行為もみられるが、こうした行為は営利、非営利を問わず一定の著作権料を支払い、許諾を求めるのが当然の措置と考える。

引用に際しては、公正な慣行と社会通念に基づき引用であることが明確に判断できるよう出所を明らかにし、引用の形式も“原文のまま引用”することが必要であり、作為的に修正したり、わい曲した場合は著作者人格権(同一性保持権)を侵害する疑いも生ずるので、特に留意するよう求めたい。

 

第39条(時事問題に関する論説の転載等)

現行著作権法第39条は政治上、経済上、社会上の時事問題に関する論説は、禁転載の表示がない限り、他の新聞、雑誌等への転載ができるとしている。

この条項を設けた趣旨はさる昭和44年に新聞界が発表した見解にもある通り、自由で民主的な社会において欠くことのできない言論の自由を尊重する立場から、公共的利益のために、本来ならば完全に著作権の保護を受けるべき時事問題に関する論説の転載を認めたものであり、あくまでも各種メディアが「報道的な態様において」(文化庁『新しい著作権法の概要』)利用する場合にのみ許容されているものと解される。

従って、ここでいう「論説」とは原則的には新聞の論評記事のなかでも特に「社説」を指すのであって、その他の論評記事はこの条項に該当しないというべきである。しかし、かねて新聞界が主張してきたように、社説に準ずるとみなされる論評記事については、個々の記事内容いかんによって利用できると考えられる。

この意味で、同条項における本来の趣旨を逸脱して、「社説」のみならず、解説、評論記事等を営利を目的として無断で転載、編集して販売するなどの行為は正当な自由利用と認めることはできない。

以上の観点から新聞界としては、同条項の適用範囲を下記のように解釈し、これを今後新聞界の慣行として確立することとしたい。

  1. 「政治上、経済上、社会上の時事問題に関する論説」とは政治上、経済上、社会上の時事問題に関する社説ならびに社説とみなされる論評記事を指す。
  2. 署名入りの時事に関する評論、解説記事は利用できる範囲から除かれる。ここにいう署名入りとは、必ずしも氏名を明示したものにとどまらない。姓のみ表記した記事(例えば○○ニューヨーク特派員、本紙○○記者など)についてもこれを署名入りとみなす。また、“署名入りの時事に関する評論、解説”のなかには、社外の評論家の記事はもちろん、海外特派員、国内特派記者、論説委員、解説委員、編集委員等の評論、解説も含まれる。
  3. 社内、社外の筆者を問わず、署名の有無を問わず、「コラム」は同条項の利用の範囲から除かれる。
    ここでいう「コラム」とは、一般的に政治、経済、社会、文化など各分野の問題を特に筆者の思想、感情からとらえて論評した囲み記事もしくはこれに準ずる記事を指す。

 

以  上

 

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