小笠原の文化、次世代へ 返還50周年で地元誌特別号
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 ローカル誌「ORB」

 東京・小笠原諸島でローカル誌を発行している自営業ルディ・スフォルツァさん(36)が、米国からの同諸島返還50周年を機に、特別号を制作中だ。返還後から島で暮らしてきた人たちの思いや文化を多くの人に伝え、理解を深めてもらう上で大事な節目と捉えており、「次世代へ新しく引き継ぎたい」と意気込んでいる。

 ローカル誌のタイトルは英語で「ORB(オーブ)」。「目」という意味を込めたA5サイズの冊子だ。2016年12月に第1号を発刊し、これまでにスフォルツァさん自身の体験談や、島の女子高生がつづった文章、若手の外国人歴史研究者へのインタビューを掲載。日本語と英語で書き、父島の飲食店などで配布する。

 特別号は、硫黄島にルーツを持ち、父島に長年住む宮川典継さんの文章や、父島の漁師小川剛さんの手記などを盛り込む予定で、年内の発行を目指している。

 スフォルツァさんはイタリア人の父と日本人の母との間に生まれ、東京都世田谷区で育った。12年に父島に移住。島で自分にしかできないことを探すうち、面白いと思ったことを発信できるメディアがあればいいと考えるようになった。

 3年ほど前、父島でレストランを経営する宮崎四郎さん(71)から、自身が1970~80年代に制作していたローカル誌「スコール」を見せてもらう。行政主導の開発計画や政策に従うだけではなく、住民の夢やビジョンを伝えたかったという宮崎さんの思いを聞いたスフォルツァさんは「かつて島民が同じようにローカルメディアを求め、実際に作っていたことに驚いた」。自らもローカル誌発行を決めた。

 オーブ特別号は「スコールに対して敬意を示す形や内容にしたい」とスフォルツァさん。寄稿予定の宮崎さんは「島にいる多才な若者の文化サロンになればいい」と、オーブの今後に期待する。

 「小笠原のリアルな文化を伝えている」。創刊号からオーブを扱う東京・東小金井のフリーペーパー専門店店主、松江健介さん(36)の評価も高い。

 「小笠原に暮らす上の世代の人たちの精神を引き継ぎ、新しい形で再生していく」。強い決意を、スフォルツァさんは特別号に込めるつもりだ。

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