外国人の国保調査に論議 開始半年、偽装滞在は未確認

 外国人が高額医療を受ける目的で来日し、偽りの在留資格で国民健康保険(国保)に加入する恐れがあるとして厚生労働、法務両省が1月に始めた調査制度が論議を呼んでいる。約半年で在留資格偽装がはっきりしたケースは見つかっておらず、外国人を特に疑う調査で偏見を助長すると中止を求める声も出ている。

 「調査すること自体、外国人の不正が多発しているような印象を与える」。外国人を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(東京)の鳥井一平代表理事は批判。「在留外国人が受診を控えることになれば、住民誰もが安心して医療を受けられる国保の趣旨にも反する」

 調査制度は、外国人による公的医療保険の不正利用で保険制度が損害を受ける恐れがあるとの医療関係者の指摘を受け始まった。対象となる在留資格偽装は問題と指摘された利用形態の一つ。調査では国保加入間もない外国人が高額医療を申し込む時、国保を運営する市区町村は、その外国人が在留資格通りの活動をしているか実態を確認する。疑わしければ入管が調査、不正と分かれば在留資格を取り消す。

 厚労省は、在留資格が「留学」なのに通学していないなどを不正の例に挙げる。法務省のまとめでは7月10日時点で5人が入管調査の対象となり、2人は不正と認められず、残る3人は調査中。

 この制度に先立ち厚労省は昨年3月、高額治療を受けた外国人のレセプト(診療報酬明細書)を調査。2015年11月~16年10月の1年間、国保加入から半年以内にC型肝炎治療薬の処方など一定の高額医療を受けた外国人は19人で「不正の可能性が残る」とされたのは2人だった。外国人の国保加入者の総数は約95万人(16年4月)。

 厚労省担当者は調査の理由について「感情的な外国人非難でなく冷静な議論のため、実態把握は必要」と説明している。

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