隠れキリシタンの里? 俗名刻む連名墓石発見 上野・楢原白井地区
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俗名が刻まれた墓標を指さす今井さん

 キリスト教弾圧下の隠れキリシタンについて独自に調査している群馬県の上野村文化財調査員の今井興雄さん(69)=同村乙父=が、同村楢原白井地区で仏教の戒名ではなく俗名が刻まれた連名の墓石を見つけた。同地区では十字架を思わせるモチーフがある墓標や、「吉利きり」の文字が刻まれた供養塔なども見つかっており、今井さんは「白井集落が隠れキリシタンの里だったということを示す新たな遺物だ」と分析している。

◎専門家「可能性 高い」 観光客案内中に気付く

 発見した墓石は高さ約50センチ、幅約25センチで、祖先の墓石が並ぶ一画にあった。梵字ぼんじとともに「すき」など6人の名前が刻まれている。今井さんが観光客を案内しているときに気付いた。

 今井さんによると、死後の世界を重視するキリスト教徒は仏教の戒名を付けられることを嫌った。「俗名が刻まれている墓石は見たことがない。寺の住職もキリシタンに同情し、戒名を刻まないであげたのかもしれない」と推測する。

 俗名が刻まれた墓標について、全国かくれキリシタン研究会の浜崎献作会長(74)=熊本県天草市=は「古い墓石で実名が刻まれていれば、隠れキリシタンのものである可能性が非常に高い」としている。

 楢原白井地区には他にも隠れキリシタンがいたことをうかがわせる遺物が見つかっている。江戸時代に関所が置かれて栄えていた同地区の有力者、藤兵衛の墓には透かし彫りの十字が、供養塔には「吉利」の文字が残っている。

 村は地区の歴史や遺物について説明するパンフレットを作製。昨年11月には首都圏の旅行業者を招き、集落の歴史を解説するツアーも行った。

 今井さんは同地区の隠れキリシタンについて10年以上調査を続けており、2015年には初めての報告書「検証 神流川源流部の隠れキリシタン」をまとめた。現在も県内外の寺院などへ出向き、資料や遺物の調査に取り組んでいる。今井さんは「新たに気付くことがたくさんある。他の地域も回り、さらに研究を深めたい」と話している。

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