《ぐんま再発見》観光資源に「遊び」を 真田忍者が活躍した吾妻
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「岩櫃城忍びの乱」で忍術教室に参加する子どもたち

 忍者の足跡を記した年表や地図、戦国時代に使われた手裏剣、鎖鎌といった武器がずらりと並ぶ―。歴史と民俗の博物館「ミュゼ」(中之条町)は、群馬県吾妻郡などで活躍した真田忍者をさまざまな角度から紹介している。忍者に関することや秘伝の技は「一子相伝」とされ、全国的にも現存する史料が少ないが、「吾妻郡は貴重な記録や末裔まつえいが残る数少ない地域」(山口通喜館長)だ。

■貴重な史料
 真田忍者の特徴を山口館長は「参謀役を担う人など地位が高い者が多かった」と説明する。通常は修験者(山伏)や地侍などとして生活し、戦の際に情報戦を得意とした真田氏に貢献したとされる。地域に伝わる「吾妻記」や「加沢記」には、城に忍び込んで貴重な馬よろいを盗んだ唐沢玄蕃げんば、北条氏の武将の名馬を奪った割田下総しもうさらの活躍が記されている。

 町内には、真田氏に重用されたこの2人の墓などゆかりのスポットが点在するが、山口館長は「歴史資源をどう観光に結び付けていくかが重要」と指摘。今後は近隣自治体と連携し、広域マップを作ることも検討している。

■イベント開発
 中之条町に隣接する東吾妻町にかつて、真田氏ゆかりの岩櫃城があった。岩櫃山の険しい地形を生かし、戦国時代には忍者の養成が行われていたとされる。こうした歴史を背景に2014年から、忍者気分を味わってもらうイベント「岩櫃城忍びの乱」が岩櫃山周辺で開催されている。

 実行委員長の斎藤貴史さん(46)は「忍者がいたことは聞いていたが、詳しくは知らなかった」と地域活性化のために手探りで始めた当時を振り返る。忍者イベントのコンセプトは「歴史で遊んじゃ うまくねぇんかい」。遊びの要素を入れて幅広い世代が楽しめる企画を用意した。忍びの末裔による子ども向け忍術教室、ジャズライブ、講演会、携帯食の兵糧丸作りも手掛けた。

 昨年は「真田忍者サミット」も同時開催。忍者研究の第一人者である山田雄司三重大教授ら専門家や、忍びの子孫が参加し、研究の成果や言い伝えなどについて意見交換した。歴史に興味のあるシニア世代や若い女性らが会場を訪れ、大いに盛り上がった。

 ダンススクールと連携した忍者ショーの構想も温めている。「忍者は外国人からの人気も高い。インバウンド需要を取り込めるエンターテインメントの仕組みを構築したい」と斎藤さん。地域に眠っていた忍者の歴史の奥深さに魅了され、さらなる夢を思い描いている。

◎外国人誘客に期待…忍者ゆかりの全国自治体
 三重県伊賀市や滋賀県甲賀市など忍者ゆかりの自治体が集い、2015年に「日本忍者協議会」(東京)を結成した。東京五輪が開かれる20年に訪日外国人客(インバウンド)が増えることを見据え、忍者に関する情報の収集や発信に力を入れる。県内は東吾妻町が会員となっている。

 事務局によると、海外での忍者人気は高く、外国人誘客につながる観光資源として注目されている。海外10カ国を対象にした協会の調査では、忍者の認知度は98.7%に上り、このうち今も存在していると信じる人は約6割。コスプレ体験やトレーニングなど「忍者になりたい」の合計は約5割で、強い興味を持っている現状が浮き彫りとなった。(斉藤弘伸)

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