伊勢崎銘仙の技術で切り絵「刀刻」 故・伊藤正義さん個展始まる
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遺影の前で伊藤さんの作品を手に取る健太さん(右)

 伊勢崎銘仙の型紙を彫る技術を生かし、緻密な切り絵の制作に取り組んできた「刀刻」作家の故・伊藤正義さん(享年80歳)の個展が21~29日、群馬県伊勢崎市中央町のベイシアIS伊勢崎店で開かれる。今月4日の突然の訃報にファンから惜しむ声が上がる一方、遺族は「故人が心待ちにしていた久しぶりの発表の場。多くの人に足を運んでほしい」と話している。

◎世界で評価される「刀刻」作品 故人もファンも待ちわびた個展開催
 伊藤さんは、銘仙に柄を付ける上で欠かせない型紙彫り職人として活躍した。技術を駆使した切り絵を「刀刻」作品と名付け、1990年ごろ作家に転身。細かな円や幾何学模様で表現した神秘的な作品は、フランスの公募展ル・サロンで入選、流形美術会(東京都)公募展で最高賞を受けるなど国内外で高く評価された。

 孫の健太さん(30)=同市連取町=は「毎週のように遊んでもらった」と思い出を語る。家族に優しく、怒った姿を一度も見たことがないという。一方、仕事中は来客に気付かないほど集中していた。

 伊藤さんは、2016年に伊勢崎銘仙の併用がすりを復活させたプロジェクトにも参加した。英国のビクトリア&アルバート博物館に永久保存されている着物も、伊藤さんが彫った型紙で捺染なっせんした。プロジェクトの呼び掛け人、杉原みち子さん(71)=同市曲輪町=は「職人でありアーティスト。幻想的な作品は多くの人の心を打った」と惜しむ。

 当初は今春に個展を開く予定だったが、直前にくも膜下出血に倒れ、延期した。ファンも伊藤さん自身も待ちわびた開催に、健太さんは「本人は立ち会えず残念がっていると思うが、退院後も作品作りを続けたほど情熱を注いだ刀刻を見てほしい」と力を込める。

 問い合わせは同店イズカルチャーセンター(電話0270-26-1119)へ。

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