《「影踏み」密着 2》出会い 大作の予感に高揚
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
伊参スタジオ映画祭の集合写真で笑顔を浮かべる(前列左2人目から)横山さん、篠原監督、山崎さん=2016年11月

 「もともと横山(秀夫)さんの作品の大ファン。積極的な方ではないが、どうしてもあいさつがしたくて話し掛けた」。映画「影踏み」に主演した歌手の山崎まさよしさんは、原作者・横山さんとの出会いをこう振り返る。

■意気投合
 きっかけは2016年に中之条町で開かれた伊参スタジオ映画祭だった。山崎さんは映画「月とキャベツ」の公開20周年を記念したミニライブで、横山さんは同年に公開された映画「64(ロクヨン)」のトークゲストとして登壇した。

 2人はその後の懇親会で、互いにファンであることが分かり意気投合。別れ際、横山さんは握手をしながら言った。「ぜひ私の原作で映画を」。その場にいた関係者から歓声が上がった。「すごいことが起こる」。大作誕生の予感に、会場は高揚感に包まれた。

 同映画祭の審査員を務める篠原哲雄監督とプロデューサーの松岡周作さんは、「月とキャベツ」公開から20周年の節目に、山崎さん主演でもう一度、映画を撮りたいと考えていた。横山さんも13年から3年間、同映画祭の審査員を務めており、作家独自の視点でシナリオを審査する姿勢に篠原監督も信頼を寄せていた。「横山さんの原作で(映画を)やろう」。映画祭スタッフからも次々と賛同の声が上がった。

■二つ返事
 動きを察知した横山さんは、連作短編小説「影踏み」の映画化を提案した。泥棒を主人公に据えた同作は、警察などの組織と個人の相克を描くことが多い横山さんの小説では異色の作品だ。

 横山さんは「山崎さんを泥棒にしては申し訳ないという気持ちもあったが、既に映像化されている作品よりも、全く手つかずのものがいいと思った」と理由を話す。山崎さんも作品を読み直し、「横山さんの原作で篠原監督とくれば、断る理由がない」と二つ返事で引き受けた。

 17年夏から脚本化の作業が始まり、キャスティングの調整に入った。主要キャストと配給会社が決まった18年2月、松岡さんは篠原監督に電話をかけた。「『影踏み』できますから!」。その声は興奮していた。

 同年5月、伊参スタジオ映画祭などでつくる製作委員会が発足した。「篠原さん、山崎さんの解釈で、ぜひすてきな映画にしてほしい」。横山さんは制作を2人に託した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事