《「影踏み」密着 4》集結 演者 引き寄せる魅力
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撮影の合間に談笑する山崎さんと大竹さん=昨年5月、中之条町・旧西中

 昨年6月、群馬県中之条町の撮影現場を訪れた原作者の横山秀夫さんは、主演の山崎まさよしさんと、恋人役の尾野真千子さんの演技を見学した。その後、2人とあいさつを交わし、「演者は人間。その人の人生がにじみ出るもの。生きざまを反映させて」と激励した。

■前作ほうふつ
 「影踏み」は深夜に寝静まった民家に忍び込み、盗みを働く「ノビ師」が主人公。ある事件の謎解きを通して、主人公が自身の過去と向き合う物語だ。登場人物はそれぞれ心に何らかの闇を抱え、それを隠しながらひっそりと、あるいは堂々と暮らしている。演技力を試される役どころが多い。

 物語は泥棒が生きる闇社会と、それを取り締まる警察や検察といった権力側の対立構造が軸。主人公を追う立場でありながら、少年時代をよく知る刑事役は鶴見辰吾さんが好演した。映画「月とキャベツ」でも山崎さん演じる主人公を温かく見守るカメラマン役で出演しており、前作をほうふつとさせる役柄だ。ミュージシャンの竹原ピストルさんは主人公と幼なじみの刑事役で出演。音楽仲間の2人が敵対する場面は見どころだ。

■サプライズ共演
 俳優陣には豪華な顔ぶれがそろった。尾野さん演じる主人公の恋人を慕う文具店の店長は、名脇役として活躍する滝藤賢一さんが熱演した。尾野さんと滝藤さんは横山さんの代表作で日航機墜落事故を巡る新聞社の葛藤を描いた映画「クライマーズ・ハイ」(2008年)の出演をきっかけに人気が上昇した。「影踏み」でも「ともに闘った戦友」(尾野さん)として、息の合った演技を披露した。

 主人公の母親役を演じた大竹しのぶさんは、かねて山崎さんと音楽を通して交流を深めていたことから出演につながった。このほかにも「月とキャベツ」のファンが喜ぶようなサプライズ共演もある。

 主人公の弟役を演じた北村匠海さんも注目される。18年の日本アカデミー賞の授賞式に出席した篠原哲雄監督が、新人俳優賞を受賞した北村さんを一目見て、抜てきを決めた。

 出演の経緯はそれぞれだが、尾野さんが「篠原監督と山崎さんの作品と聞いて即決した」と明言するように、「月とキャベツ」の影響力は大きい。篠原監督の作品世界、横山さんの原作の魅力が豪華なキャスティングをたぐり寄せた。

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