園児の五感 芸術共同制作で刺激 前橋の5保育園 県内若手を派遣
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中島さん(右)と制作した「馬車」で遊ぶ相愛館の園児たち

 前橋市内の私立保育園を中心に、群馬県内の若手アーティストを派遣するモデル事業が広がり始めている。共同の作品制作といった芸術体験を通して園児の主体的な学びをサポートする取り組み。関係者は「幼児教育の在り方を考える良い機会」と捉え、普及に力を注いでいる。

◎段ボール使い馬車作り
 「馬車を作ろう」「屋根を付けたら馬車みたいになるかな」。園児がにぎやかな声を響かせながら、大きな段ボールを組み合わせていく。色とりどりのテープで装飾された「2階建ての馬車」は、どんな遊具よりも人気を集める。

 認定こども園の相愛館(同市日吉町)は、年少から年長の園児が過ごす2階の一角にアトリエを設けている。アーティストの中島佑太さん(35)=同市石倉町=が園児と共に段ボールの馬車やビニールテープの靴、紙のマントなどを制作。作品はそのままアトリエに残され、園児が自由に作り変えることができる。

 モデル事業は2018年度、43園が加盟する同市私立保育園長連絡協議会が始めた。ワークショップやアーティストによる滞在制作、作品鑑賞ツアーなど園児の五感を刺激する内容が展開され、現在は5園が実施している。

 同協議会長で相愛館の楯保幸園長(56)は、同様の取り組みを行っていた清心幼稚園(同市大手町)と中島さんの活動を見学し、協議会での実施を提案した。楯園長は「かつての一律的な保育と違い、今は主体的で対話的な幼児教育が求められている。外部の人から刺激を受け、保育の常識を崩す必要があると思った」と話す。

 講師役は中島さんと、ともに同市に住むアーティストの阪中隆文さん、画家の牛嶋直子さんの3人が務めている。今後は市外からの要望に応えられるよう人数を増やしたり、活動を法人化したりすることも検討している。

 中島さんはこれまでの活動から「家庭環境によって、芸術や文化に触れられない子どもたちがいる」ことに歯がゆさを感じていた。今後は親子ワークショップを企画するといい、「子どもの向こう側にいる大人の見方を変えることができれば」と展望している。

 保育施設での芸術活動は、イタリアのレッジョ・エミリア市が実践する幼児教育法の一つで、園児の個性や価値観を尊重したプログラムとして知られる。国内では都市部の保育園やインターナショナルスクールに加え、高松市が「芸術士派遣事業」として取り入れている。

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