BUCK-TICK結成30年 まだまだ「かっこよさ」進化中
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デビュー30周年を迎えたBUCK-TICKの(左から)櫻井、今井、樋口、ヤガミ、星野

 群馬が生んだ男性5人組ロックバンド「BUCK-TICK(バクチク)」が、9月にメジャーデビュー30周年を迎えた。メンバーの櫻井敦司(ボーカル)と今井寿(ギター)、星野英彦(同)は藤岡市、樋口豊(ベース)とヤガミ・トール(ドラム)は高崎市といずれも群馬県出身。同郷のメンバーで活動を続け、50代となっても「かっこよさ」は進化中。独自の世界観とバンド音楽を追求する姿勢で、新旧のファンを魅了している。12月23日の全国ツアー・高崎アリーナ公演を前に、古里や音楽に対する5人の思いを聞いた。(聞き手・和田早紀、撮影・大橋周平)

―1987年のデビューから今年で30周年となった。古里である群馬に今、どんな思いを抱いているのか。また高崎公演を前に、県内のファンへメッセージを。
 星野 高校卒業まで過ごしたから思い出はたくさんある。高崎のライブは楽しみにしている。
 ヤガミ 23歳くらいまで群馬にいて、就職もした。今でも里帰りすると落ち着く場所。できれば晩年は住みたいと思っている。
 樋口 実家に帰ると上毛三山が気持ちよく見える。高崎公演は30周年を群馬の皆さんとお祝いしたい。
 今井 群馬より東京にいる方が長くなったけれど、たまに帰るといいなと思う。
 櫻井 いいことも、そうじゃないことも、いろんな思い出がある。けれど、僕が始まったのは群馬だという思いは胸にある。高崎アリーナは初めてなので楽しみ。ぜひ遊びに来てほしい。

―デビューからずっと同じメンバーで活動を続けている。30年を経て変わったこと、あるいは変わらないことは。
 星野 変わらないのは音楽に対する姿勢。変わったところは見た目ですかね。
 ヤガミ 単純に30年歳を取った。変わらないのは、ずっとバクチクでドラムを打っているということ。
 樋口 変わったことはあまり考えない。ずっと同じメンバーだから変わったという実感がない。
 今井 作曲やライブのリハーサルに、真面目に取り組むようになった。30年やってきて、無限に続けられない気持ちが出てきたから。その影響もあるのかな。
 櫻井 僕も同じ。歌や歌詞、ステージにどんどん真剣に深く取り組むようになった。それは20代、30代の頃と全然感触が違う。

―デビューした30年前から音楽の流行は常に変わり続けている。バクチクが今、追求するバンド音楽の「かっこよさ」についてどう思う。
 星野 その時を楽しむこと。その延長に今がある。
 ヤガミ ファンの支持があったからこそ続いてきた。自分はドラムのプレーヤーとして進化していくだけ。
 樋口 常に「こうあるべきだ」という考えがないから、好きなことをやってこられた。これからもベースとしてチャレンジしたい。
 今井 音楽への探求心は薄れていない。ファンのみんなに聞かせたい欲求は変わらない。
 櫻井 音楽が好きで歌が好き。美しいと思う基準が決まっていて、自分もそんな表現をしていきたい。

―30年間、メンバーの入れ替えがないバンドは非常に珍しい。けんかはないのか。酒豪伝説の多いバンドだけに、やはりお酒が仲を取り持っているのか。
 星野 お酒もあるけど、やっぱり好きな音楽ができる仲間なんだと思う。けんかは(ヤガミと樋口の)兄弟げんかくらい。
 樋口 たわいもないことだよ(笑)。初めて楽器を持った時からずっと一緒。だから互いの成長も分かるし、尊敬できる。
 ヤガミ (音楽性の違いといった対立は)ないですね。曲を作っている今井や星野が優秀だから。あと、みんな群馬県民で、育った環境が似ていることも大きい。
 今井 「別にこのメンバーでいいじゃん」という感覚。バクチクでやりたい音楽、かっこいいと思う音楽の価値観が同じなんだろうな。
 櫻井 メンバーを信頼している。一人一人は完璧でなくても音が重なると、もっとやりたいという欲求が出てくる。探求心を一緒に味わえるのが面白い。

―ロックバンドの「BOOWY(ボウイ)」や「back number」と合わせて「群馬の3B」と呼ばれている。
 樋口 よく言われるけど、偶然かも知れないし。
 今井 さっき知った。面白いんじゃないですか。
 ヤガミ ボウイはデビュー前、アマチュアのイベントで話す機会があった。上京する時もメンバーの近くに住んでいろいろ教わった。プロの先輩が身近にいて、自分たちはラッキーだった。群馬はいい素材がいると思うので、四つ目の「B」が出てほしい。

―新曲「BABEL(バベル)」は今井さんが作曲、櫻井さんが作詞を手掛けた。重厚なアレンジとダークな歌詞で、30周年の第1弾シングルとしてバクチクらしい一曲となった。
 今井 キャッチーとかポップじゃなくて、強く心に引っかかる曲をシングルにしたかった。難解なイメージを強さに変える感じ。作曲期間中にいいなと思ったのがバベルだった。
 櫻井 テーマは「人間の欲」のひと言に尽きる。終わりがない分、探っても深みにはまっていくような世界観が好き。光は歌っていないけれど闇を歌っている。この対比によって、どちらかが浮かび上がる。時代とか関係なく、自分が歌うのはこれしかない。

―9月には、ファン投票を基に選曲したキャリア最大規模のベストアルバム「CATALOGUE 1987-2016」を発売。若者が集う「タワーレコード高崎オーパ店」のキービジュアルも務め、デビュー当時を知らない若い世代からの関心が高まっている。バクチクを聞くなら「この一曲」を薦めてほしい。
 星野 実際に若いファンも増えているらしい。曲は(自身が作曲した)「JUPITER」で。
 ヤガミ 10代が60代まで聞いてくれれば、自分たちがいなくなっても曲は残る。1曲には絞れないので、ぜひ「CATALOGUE 1987-2016」を購入してほしい。
 樋口 活動が長いのでファンの世代が幅広い。ライブでもやっている「Memento mori」は、みんなで踊り歌おうという曲だ。
 今井 かっこいいのでぜひ聞いて。曲は「ICONOCLASM」。
 櫻井 青春のどこかに僕たちの音楽があればうれしい。好きな曲は父と母が出てくる「無題」。

―次の40周年に向けて、ファンにどんなバクチクを見せていきたいか。
 星野 健康に気をつけて変わらずいられたら。
 ヤガミ 想像できないけれど10年後は65歳。とりあえず還暦まで頑張りたい。
 樋口 1年1年大切に続けていきたい。
 今井 10年後にバクチクの最高傑作ができれば。昔の曲ではなく、新曲で一番盛り上がりたい。
 櫻井 「いい年になってもロックやっている」と憧れてもらえたら幸せだと思う。

◎異次元の音 体感して…音楽プロデューサー・多胡邦夫さん

 1980年代のバンドブームに誕生し、独自の音楽性を切り開いたバクチク。ビジュアル系のロックバンドに限らず、多くのアーティストに影響を与えた。群馬における“バクチク現象”について、メンバーと交流のある音楽プロデューサー、多胡邦夫さん(44)=高崎市=に聞いた。

  ◇   ◇  


 ボウイ、ROGUE(ローグ)、バクチク―。この3バンドは当時、群馬のバンドマンなら誰もが憧れた存在だ。自分も中学2年でギターを始めたが、バクチクの曲をコピーした。高崎は音楽活動を支援してくれる大人がたくさんいたから、アマチュアバンドが参加できるライブが多かった。バクチクをライブで見る機会もあり、初めて音楽番組に出た時はその話題で持ち切りに。雲の上の存在が身近にいたことは、音楽を志す地元の若者に大きな影響を与えた。

 バクチクはその後、30年間もメンバーを替えずに活動を続け、毎年、日本武道館でライブを開いている。こんなバンドは日本で唯一だろう。長く続くにはいろいろな要素があるが、まずメンバー同士の仲がいい。打ち上げもずっとメンバーで飲み続けている。

 また互いにプレーヤーの役割を果たし、信頼し合う関係がある。安定したバンドの土台があるから、今井さんも作曲やアレンジで、ある種クレイジーな挑戦ができるのだろう。だから長く続けてもマンネリ化しないし、ファンを飽きさせない。昨年末の武道館公演で当時の新曲「New World」を聞いたが、一番かっこいいと感じた。新曲が一番いいなんて、普通できることじゃない。

 バクチクはロックバンドだが、音楽はロックだけにとどまらない。メロディーはポップで親しみやすいけれど、アレンジはクレイジーに攻めている。難解な音楽の中にきらりと光る要素が込められている。そこに、太く低く、艶がかった櫻井さんの歌声が乗って曲が完成する。曲とメンバーのルックスのバランスが「バクチク」という独自の音楽ジャンルを形作っている。

 バクチクを知らない若い世代にとっては、今まで聞いたことのない異次元の音だろう。30周年を機に、バクチクの音楽を体感してほしい。

 《BUCK-TICK》1987年にメジャーデビューし、髪を逆立てたスタイルとダークな世界観で注目を集めた。89年のサードアルバム「TABOO」はオリコンチャートで初登場1位に。メンバーを一度も替えることなく活動を続け、11月15日に35作目のシングル「BABEL」をリリース。10月から全国ツアーを実施し、12月28、29の両日、東京・日本武道館でフィナーレを飾る。

 ※記事中のBOOWYの正式表記は、3文字目のOの中に/(スラッシュ)が入ります。

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 ※アプリ「上毛新聞AR」をインストールしたスマホやタブレットをこの写真にかざすと、動画を見ることができます。この機会にぜひお楽しみください。

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