文化芸術も支援を 展示や演奏会中止で危機 群響も寄付金募集
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 新型コロナウイルス感染症拡大によって、収入が激減している芸術家らに対し、基金や地方創生臨時交付金の活用を含め支援するよう自民党が政府に提言するなど、文化芸術を救済する議論が始まった。展示会や演奏会が中止に追い込まれ、緊急事態宣言が解除された今も密集、密接、密閉の3密を避けるため、多くの劇場や美術館が早期の再開に慎重な姿勢を示している。群馬県内の芸術家らは「支援の幅を広げてほしい」と訴える。

 自粛の影響で、多くの芸術家が活動の場を失った。洋画家の金井訓志さん(前橋市)は「開催した個展が途中で中止になってしまった」。4月に高崎市内のデパートで7日間の会期で個展を開いていたが、施設休館のため開催3日間で打ち切りに。出品予定だった海外の展覧会も、開催の見通しすら立っていない。

 声楽家の秋谷直之さん(前橋市出身)は、出演予定だった8月までのオペラやコンサートが中止となった。「海外と比べ、芸術関係者への支援が行き届いていない。コロナを機に、廃業する人もいるかも知れない」と不安を口にする。

 芸術家が活動を自粛する影響は関連業者にも及ぶ。

 「4、5月の展示会はすべて中止した。こんなときだからこそ、芸術に触れて心豊かに生活してほしいものだけれど」。絵画など美術品の販売、買い取りを行う「ギャラリー・オーツー」(同市)代表の女屋恭治さんは声を落とす。外出自粛などで来店客は大幅に減った。感染拡大防止を考えると大々的な企画を打ち出しにくく、営業時間の短縮などで対応している。

 絵の具やキャンバスなどの画材を扱う同市の詩季画材会長の野村品司さんによると、来客数が減り、売り上げは3~4割落ち込んでいるという。国の補助金の申請を試みたが、条件に合わず断念。緊急事態宣言が解除されたが、「すぐに芸術活動を活発に行うことは難しいのではないか」と心配する。

 「アーツ前橋」館長の住友文彦さんは、ドイツなどで文化芸術関係者に対し手厚い支援が行われることを踏まえ、「日本ではイベントだけでなく、個人の活動も継続できないことが問題だ。医療や教育と同じように、文化芸術も生きていくために必要だと認識してほしい」と支援を訴えた。

 文化芸術への支援には自民党が21日、芸術家やアスリートらの支援策を第2次補正予算案に盛り込むよう提言している。また、独立行政法人の日本芸術文化振興会(東京)は25日、苦境が続く劇団や楽団など芸術文化団体を財政支援するための「文化芸術復興創造基金」を創設し、財源となる寄付金の募集を始めた。

◎楽団の維持へ 群馬交響楽団が寄付募る
 新型コロナウイルスの影響で公演中止が続く群馬交響楽団は、個人や企業などからの寄付金の募集を始めた。寄せられた寄付金を運営費に充て、楽団の維持に努める。

 金額は1口1000円から10万円まで8種類。ホームページ上のチケット購入フォームからクレジット決済で受け付ける。同事務局によると、相次ぐ公演中止を受けて県民やファンから寄付の申し出が多数寄せられ、賛助会員の申し込みや振り込みを案内してきたが、「手続きを簡単にしてほしい」と要望があり、クレジット決済による寄付を加えた。

 同事務局は「生の演奏が届けられず大変心苦しい。窮状を脱するため、少しでも支援していただければありがたい」としている。

 問い合わせは同事務局(電話027-322-4316)へ。

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