1940年の棟札発見 建築年裏付け みなかみ法師温泉・長寿館別館
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見つかった棟札を手にする岡村専務

 国登録有形文化財に登録されている群馬県の法師温泉長寿館(みなかみ町永井、岡村興太郎社長)の別館から建築当時の棟札が見つかった。これまで推定だった別館の建築年を1940(昭和15)年と裏付ける史料。新型コロナウイルスの影響で経営が打撃を受ける中、偶然の棟札発見に「勇気付けられた」と喜んでいる。

 棟札は高さ約85センチ、幅約18センチで2枚一組になっている。新型コロナの影響による臨時休館期間を利用して始まった5月の別館補修工事で、屋根裏から偶然見つかった。

 県立文書館が確認したところ、棟札には上棟式が「昭和十五年五月十四日」だったことや「皇紀二千六百年紀年事業として施行」などが書かれていた。皇紀は神武天皇の即位年を元年とし、2600年は西暦1940年にあたる。

 このほかにも繁栄を願う「奉棟上大元尊神」の文字や建築工事を担った工事総請負人、棟梁、製材、大工らの名前や住所が書かれていた。新潟県内の名前が多く、同県にルーツを持つ岡村家が同郷の人々と深く関わっていた様子がうかがえるという。「材料ハ自家山林中より抜伐し之れを使用」などと資材調達の状況も記されていた。

 別館は木造2階建てで全10室。2006年、明治期に建てられた本館や「法師乃湯」とともに国登録有形文化財になった。県文化財保護審議会の村田敬一副会長(71)は「湯治文化を物語る旅館建築の最終形として別館の価値は高い。推定の域を超えなかった建築年が確定できたことは、建築史を語る上で大きな意義がある」と指摘する。

 岡村社長(74)は日中戦争中の1940年当時に思いをはせ、「経営は厳しかっただろうが、皇紀2600年の節目の事業として(別館建設を)何としてもやり遂げたいという強い意志が感じ取れる」と話した。

 長寿館は6月からようやく営業が再開した。岡村建専務(48)は「コロナで厳しいこのタイミングで棟札が見つかり勇気付けられた。先祖も数々の危機を乗り越えてきたと思う。今回も何とか頑張りたい」と前を向く。別館は内装を改装中。7月中に全室が利用できる予定。棟札は利用客が自由に見られるような展示方法を検討している。

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