前橋演劇鑑賞会 59年の歴史に幕 会員減り高齢化 来年5月に解散
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演劇の楽しさを紹介してきた前橋演劇鑑賞会のメンバー

 演劇を楽しむ機会を自分たちの手でつくってきた会員制の「前橋演劇鑑賞会」が創立59年を迎える来年5月、歴史に幕を閉じる。最盛期は6千人を超える会員数を誇ったが、会員の高齢化や娯楽の多様化に加え、新型コロナウイルス感染症による文化活動の停滞も影響。10月11日の例会をはじめ、来年4月まで残り5回の上演を予定し、「一人でも多くの人に楽しんでもらいたい」と参加を呼び掛けている。

 同会は1962年、前橋勤労者演劇協議会として設立。会員たちが企画から小道具の搬入搬出まで手分けして行い、伝統ある新劇の劇団などの上演を行ってきた。地方での演劇文化を育むとともに、劇団に上演機会を提供してきた。副委員長の池田栄一さん(72)は「多くの演劇史に残る人たちがやってきていた」と振り返る。

 全国で同様の活動に取り組む団体に先駆けて会員手帳を発行するなどし、ピークの80年代には会員数6千人以上を達成。「例会」と呼ぶ鑑賞会も既に400回以上を数え、1週間連続で公演したこともある。だが近年は会員の高齢化が進んだことなどから、会員数は200人ほどに減少していた。

 スタッフが演劇の話を始めると、会話が途切れることがない。副委員長の田島寿恵さん(74)は「客席と舞台で共有できる“生もの”だからこそドキドキする」と演劇の魅力を話す。会員同士の交流も楽しみの一つだったといい、佐々木駒代さん(80)は「さまざまな人と出会えたのは人生の財産」と振り返る。

 心配されるのは観劇の場がなくなることで、市民が演劇文化に触れる機会が減ってしまうことだ。入会を機に演劇に魅了されたという佐藤由美子さん(63)は「若い人にも興味を持ってもられるように、子どものころから文化活動に親しめる環境をつくってほしい」と願う。

 10月11日の鑑賞会はオペラシアターこんにゃく座による「ネズミの涙」を前橋市の昌賢学園まえばしホールで上演する。午後3時開演。問い合わせは事務局(027-212-5692、水木曜の午後2~6時)へ。

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