《支局ルポ》標高差550メートル 踏破に達成感 廃線ウォーク
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廃線の上を歩いて進む。四季折々の景色が楽しめるのも魅力
廃線ウォークの途中では、トンネル内で碓氷線の歴史を伝える画像や映像が投影された

 1997年9月30日に廃線となった信越本線新線の横川―軽井沢区間(通称・碓氷線)。群馬県と長野県にまたがるこの区間を特別に歩くことができるイベント「廃線ウォーク」(安中市観光機構主催)が人気だ。廃線から23年目を迎えた先月30日に開催された同イベントに参加し、横川から軽井沢(下り線)までの道のり約11キロを歩いた。(安中支局・井部友太)

■時間の流れ 止まったまま
 同区間は長野新幹線(北陸新幹線)の開業に伴い、同年に廃止。旧線の一部は遊歩道「アプトの道」として整備され、多くの観光客が訪れている。新線の廃線跡は市が管理しており、普段は立ち入ることができず、イベント開催時のみ歩くことができる。

 この日は平日にもかかわらず32人が参加。まずは横川からアプトの道を歩いて、立ち入り禁止区域手前にある峠の湯で腹ごしらえ。横川名物の「峠の釜めし」を食べ、長い道のりに備える。ヘルメットと懐中電灯を借りて準備は万全だ。

 いよいよ、未知の世界へ。「立ち入り禁止」の看板を越えてレールの上を進む。廃線の各所では当時の看板や電話交換機がそのまま残り、足元には古めいた空き缶が転がっていた。時間の流れが止まっているような気がした。

 コースの大半を占めるトンネルは暗闇が広がり、ライトのわずかな明かりを頼って歩く感覚は冒険心をかき立てる。

■往時を投影 歴史に思い
 特別ゲストとして同行した米屋こうじさんは、碓氷線を廃止前から撮り続けてきたプロカメラマン。今回の目玉企画の一つとして、トンネル内で米屋さんが撮りためてきた作品をプロジェクターで投影した。当時録音された機関車の走行音や警笛音、釜めしの売り子の呼び込みの声も流れ、参加者は鉄路の歴史に思いをはせた。

 廃線を観光資源として活用しようと、同機構が2018年10月からイベントを開始した。参加者は延べ2000人を超え、そのうち約7割が県外から訪れている。この日に参加2000人目となった福岡県の会社員、川内湧登さん(23)は「映像や写真でしか見たことのない景色。自分の目で見られて感激」と話していた。

 横川とゴール地点の標高差は約550メートル。峠の湯を出発してから休憩を含めて4時間半ほど。運動不足の体にはこたえたが、踏破したときの達成感は大きい。四季折々の景色を楽しめるのも魅力の一つだ。これから最高のシーズンを迎える。

 【メモ】参加料は6500円(昼食代込み)。イベント開催日などの詳細は安中市観光機構ホームページで確認できる。問い合わせは同機構(電話027-329-6203)へ。

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