希少な葛飾北斎作の肖像画 みどりの狂歌師・上山喜兵衛と判明
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「草庵五百人一首」に収められた喜兵衛とみられる人物(大間々町の神明宮提供)
葛飾北斎筆「上山喜兵衛像」(北斎館蔵)

 長野県小布施町の北斎館が所蔵する肖像画の人物が、現在の群馬県みどり市大間々町の狂歌師、上山喜兵衛(1758~1834年)と判明した。江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の肉筆とされる。北斎は喜兵衛の狂歌の師、浅草庵市人あさくさあんいちんどの狂歌本の挿絵を手掛けており、こうした縁で制作したと考えられる。肖像画が描かれた背景を探ると、江戸期の大間々で狂歌が興隆した歴史が浮かび上がる。

◎長野・小布施の北斎館で公開
 肖像画は縦90センチ、横30センチほどの掛け軸で、大間々町の所有者から昨年寄贈された。作品に北斎の名と印、享和3年という制作年のほか、喜兵衛の号の「一丁羽狩いっちょうはかり」が記されていたことが特定につながった。


 美術史家の安村敏信館長は「この頃の北斎は40代で肖像画はあまり描いたことがなかったのか、作品に北斎らしい奔放さがない」としながらも、「堅実な喜兵衛の性格を忠実に表現している」と解説。北斎作の肖像画は数点しかなく、画業の変遷を知る上で貴重な資料と評価する。

◎15日まで企画展「北斎 視覚のマジック」

 上山喜兵衛の肖像画は、北斎館で開催中の企画展「北斎 視覚のマジック」で公開している。代表作の「冨嶽三十六景」など約120点を展示。構図や形などが現実離れしながらも違和感を抱かせない、北斎作品の視覚的演出に焦点を当てている。

 11月15日まで。午前9時~午後5時。入館料は大人1000円、高校生500円など。問い合わせは同館(電話026-247-5206)へ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事