《NEWSインサイド》館林市 アニメ聖地選定 活性化の起爆剤なるか
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「よりもい」ファンが館林市内で開いたキャラクターの誕生日会=2019年11月

 アニメ「宇宙そらよりも遠い場所」(通称・よりもい)の舞台となった群馬県館林市が、ファンの間で注目されている。アニメツーリズム協会(東京都)が国内外のアニメ愛好者の投票を参考に選定する「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」では群馬県内市町村で唯一、聖地に選ばれた。こうした動きを追い風として、市は交流人口の増加や地域活性化に向けたアニメの活用方法を模索している。(高木大喜)

■海外でも人気
 「訪れてみたい―」は、アニメ聖地の情報を国内外に発信し、新たな経済効果を生み出す狙いがある。2018年版が最初で、同市は19、20年版と連続で選ばれた。20年版では他に、人気アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のブロンズ像が並ぶ鳥取県境港市、サンリオの人気キャラクターによるテーマパーク「サンリオピューロランド」(東京都多摩市)などを選定。88作品に関連する都市や施設など計99カ所が選ばれている。

 同協会によると、20年版の選定に際しては60の国・地域から投票があった。国内を含む投票総数は約8万票で、前回より5万票ほど増加。アジアを中心に海外からの投票が大幅に増え、投票者を対象にした調査では、実際に各聖地を訪れたとする外国人も多かったという。

 「よりもい」は、館林市内の高校に通う女子高生が行方不明となった母親を探すため、同級生らと一緒に南極を目指す物語。重要なシーンで、つつじが岡公園や茂林寺、東武伊勢崎線茂林寺前駅などが描かれている。18年にテレビ放送され、漫画にもなった。米ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ18年のベストテレビ番組で、海外部門10作品の一つになるなど海外でも話題だ。

■探訪マップ
 “よりもい人気”にあやかろうと、市は2月、同協会などと連携し、アニメに登場する場所を巡るデジタルスタンプラリーや、外国人が対象のモニターツアーを開催。関連する探訪マップも1000部発行した。

 新たな取り組みが始まる一方で、市は「アニメの持つ力を十分に生かし切れていない」(担当者)と冷静に分析する。今後、登場人物を観光大使にしたり、監督や声優を交えたトークショーを開いたりすることを構想している。新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、ファンの意見も参考にしながら、さまざまな企画を打ち出す方向だ。

◎市民の協力が不可欠
 テレビ放送などを受け、アニメ「宇宙よりも遠い場所」の“聖地巡礼”を目的とする館林市への来訪者が増えた。主要な登場人物の誕生日会が市内で開かれるようになり、昨年7月の館林まつりでは、キャラクターの等身大パネルやファンのイラストが飾られたブースがお目見えした。「よりもい」が地域に根付きつつあり、ファンからは同市を応援する声も上がる。

 昨年11月、市内の飲食店で開かれた誕生日会に県内外から約30人が参加した。テーマソングを流しながら談笑し、誕生日を祝うメッセージを色紙に書き込むなどして交流した。誕生日会は主要な登場人物に関して年4回、開かれてきた。

■50回以上訪問
 今年は新型コロナウイルスの影響で、気軽に開催できない状況が続く。昨年11月の誕生日会で幹事を務めた男性(44)=東京都=は「50回以上訪れたことがあり、館林にとても愛着がある。今は訪問やイベントの開催が難しいが、SNS(会員制交流サイト)での情報発信など『聖地館林』を盛り上げるための協力は惜しまない」と力を込める。

 アニメの舞台となった地域に対し、思い入れの強いファンは多い。だが、現状について同市の50代男性は「その土地でお金を使いたいのがファンの心情だが、市内で公式グッズを扱っている店は少ない」と嘆く。市内の事業者がより積極的に関わり、活用していくべきだとして「よりもいとコラボレーションした商品を多く生み出せれば、地域経済も潤うはず」と期待を寄せる。

■コラボ商品
 一方、アニメ「らき☆すた」の聖地として知られる埼玉県久喜市では、市と市商工会鷲宮支所などが協力し、さまざまな取り組みを展開している。登場人物をモチーフにしたゆるキャラや、キャラクターを描いたみこしが製作されたほか、即席ラーメンやソース、文房具、キーホルダーといった多種多様なコラボ商品が開発され、アニメが地域振興に一役買っている。

 「らき☆すた」人気は10年以上。同市での取り組みは、館林市にとって大きな参考になる。ただ、「よりもい」ファンが抱くアニメの舞台への愛着を大切にしながら、地域活性化につなげていくには、市民の理解の広がりと協力が欠かせない。市は「(来年1月の)再放送が決まり、作品への注目度が再び高まりつつある。よりもいと館林を多くの人に知ってもらえるようにしたい」としている。

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