郷土史伝える場 廃館へ 藪塚本町歴史民俗資料館 太田市方針
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廃館の方針となった藪塚本町歴史民俗資料館=太田市藪塚町

 考古史料を多く所蔵し、郷土の歴史を伝えている群馬県太田市の藪塚本町歴史民俗資料館を、市が廃館とする方針を固めたことが9日、分かった。施設の老朽化や来館者数低迷などが理由。市は本年度中に休館し、所蔵品の移動先を決めるなどした上で廃館したい考えだ。これに対し、地元の歴史研究団体が見直しを訴える陳情書を提出し、同日開かれた市議会議会運営委員会は「(廃館について)市民文教委員会協議会で議論されていない」として、市側から後日、詳しい説明を求めることを決めた。

 同館は1978年、藪塚温泉の旅館「今井館」の元館主で歴史研究家の故今井新次氏らが収集した埋蔵文化財の寄贈を受けて開館。現在、古墳時代の石田川式土器や埴輪はにわ、縄文時代の土製耳飾り、近代の民具など約300点を展示している。

 市文化財課によると、同館は81年の改正建築基準法施行以前に建てられ、耐震基準を満たしていない。主要展示室が2階にあるものの、エレベーターがなくバリアフリー化が進んでいないことから、車いすでの来館者の利用を断ることもあったという。改修費用が多額になることや安全面を考慮して廃館を決めた。

 市は昨年12月、藪塚地区の一部地域に、同館の土地所有者から既に承諾を得ていること、閉館に向けた準備を進めることなどを記載した文書を回覧した。同課によると、異論は出なかったという。

 所蔵品については、高山彦九郎記念館の2階展示室が空いており、一時的な収容、展示を検討している。現在の主要展示室167平方メートルに対し、同記念館は115平方メートルを確保できることから、同課は「一部を別の場所に移す可能性はあるが、主要史料は全て展示できる」としている。

 陳情書を提出した東毛考古学サークル「はにわの会」事務局長の石塚久則さんは「市には東日本最大規模の前方後円墳『天神山古墳』がある。歴史を語る上でも考古学専門の資料館は必要だ」と訴える。廃館の判断の経緯についても説明を求めている。

 同課の担当者は「資料館にある史料は大変貴重で重要だ。より良い環境で展示するためだと理解してほしい」と説明。今後、同会に対しても回答するという。

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