ツルノスで群馬県初主催のアートオークション 作家と参加者が積極対話
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県庁32階の官民共創スペース「NETSUGEN(ネツゲン)」で展示された出品作品
「アートインキュベーション32」の会場で、札を上げるオークション参加者ら

 アーティストの自立を支援しようと、県主催のアートオークション「アートインキュベーション32」が2月、県庁32階の動画・放送スタジオ「ツルノス」で初めて開かれた。絹糸を用いた作品や四万湖をモチーフとした絵画などが出品され、落札希望者は会場に直接足を運んだり、オンラインを活用したりして参加。作家と参加者の交流を生むとともに、創作意欲をさらに高めてもらう取り組みとなった。(村上真代)

 本県にゆかりのあるアーティストか、県内の文化資産を活用した作品の制作者を対象に募集。90点の中から選ばれた21点は、オークション公式ホームページに掲載したほか、県庁32階の官民共創スペース「NETSUGEN(ネツゲン)」で展示し、競売にかけられた。県文化振興課によると、自治体がオークション主催者となるケースは全国でも珍しいという。

 当日は会場の愛好家をはじめ、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」や事前入札形式による落札希望者が30人ほど参加。オンラインで反応が「見えない」参加者もいる中、落札を目指して心理戦が繰り広げられた。

 オークション開始価格は1万円で、落札額を全額アーティストが受け取る仕組みにした。作品ごとに作家による自己紹介や制作背景の説明があり、参加者は理解を深めてから競売に臨んだ。

 オークショニア(競売人)が提示する価格に対し、落札希望者が「パドル」と呼ばれる札を掲げて意思表示。出品された21点全てが落札され、最高落札額となった絵画は16万円の値が付いた。

 オークション前後にアーティストと参加者が積極的に言葉を交わし、作品や作家活動について語り合う場面も見られた。

 参加作家の1人、近藤愛子さん(高崎市)は江戸時代に現在の富岡市で発掘された「ヤベオオツノジカ」の化石をモチーフとした作品を出品。「今までにない取り組みだった。作品の見方や、絵の評価のされ方を知ることができた」と話した。

 県は2021年度の主要事業の一つとして、アーティスト支援やアート教育を行う事業「アーティスティックGUNMA」を計画。一般会計当初予算案に約5800万円を盛り込んでおり、アートによる地域振興を図る。同事業の一環としてアートインキュベーション32も継続される見込み。こうした支援の充実により、本県芸術分野の底上げにもつながることが期待される。

◎Art×Biz  アートの「需要」把握 作家と企業が交流

 「アートインキュベーション32」の関連イベントとして、アーティストと企業などの交流会をオンラインで実施する「Art×Biz(アートバイビズ)」が2月に開かれた。アーティストがアートの受け止められ方や需要を把握することで、将来設計につなげてもらうのが狙い。

 オークション出品作家14人のほか、県内文化事業に関わる企業3社、中之条ビエンナーレ総合ディレクターの山重徹夫さんらが講師として参加。作家からは「アーティスト同士で交流できで良かった」「アートによるビジネスや地域との関わりなど制作にとどまらない可能性を学ぶことができた」などの声があったという。

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