「日本一の埴輪県」の精粋 9日まで高崎・歴博で群馬県出土116点紹介 東京国立博物館の里帰り出品も
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本県出土の埴輪の素晴らしさを紹介する企画展
跪座の男子(太田市塚廻り4号古墳出土)
豊かな装飾で細部まで丁寧に表現されている「飾り馬」(太田市塚廻り4号古墳出土)

 群馬県出土の埴輪はにわを一堂に紹介する企画展「新・すばらしき群馬のはにわ」が5月9日まで、高崎市の県立歴史博物館で開かれている。東京国立博物館所蔵の8点の里帰り出品を含め、高い造形技術と繊細な表現の埴輪など116点を紹介。古代人の社会の一端がうかがえ、「日本一の埴輪県」を証明している。

 埴輪の出土の多い本県で「最も美しい」と賞される塚まわり3、4号古墳(太田市)の埴輪群のほぼ全てを展示する。椅子に座った「倚座いざの男子」と、ひざまずいた「跪座きざの男子」は近い位置で発掘され、主人と従者の対面の場を再現。特に、跪座の男子は日本独自の風習を示す唯一の埴輪とされる。

 古墳時代に渡来人が海を越えて連れてきた馬は当時の最速の乗り物。手綱を持っているかのように「左手を挙げる男子」のすぐ左後ろから「飾り馬」が見つかり、当時の首長が富の象徴として珍重した飾り馬と馬子との関係を示している。

 この組み合わせは2対あり、装着している馬具は装飾性豊かなフル装備で、細部の表現もしっかりしている。学芸員の飯田浩光さんは「実物を見ながら忠実に制作したのではないか」と推測する。

 「太刀を持つ女子」は首長とともに儀礼に臨んだ巫女みこ。耳飾りや首飾り、腕飾りを着け、顔から衣類までは赤、黒、白の彩色が施されている。堂々とした姿から儀礼での動きがうかがえる。

 東京国立博物館には、戦前に見つかったものを中心に本県出土の埴輪が多数収蔵されている。その中から白石稲荷山古墳(藤岡市)の切り妻造りの家や寄せ棟造りの高床倉庫といった形象埴輪、上芝古墳(高崎市)出土の「挂甲武人けいこうぶじん」の人物埴輪などえりすぐりの8点を紹介している。

 埴輪は古墳の周りに立て巡らされ、本県では2千基近い古墳から出土しているという。埴輪作りの本県の最盛期は5世紀後半から6世紀で、塚廻り古墳の制作に携わった埴輪工人の中には名人と位置付けられる人も存在し、多くの需要に応えていたとみられている。

 飯田さんは「埴輪は当時の人の化粧や装束、どういう職掌の人がいたのかを理解する手掛かりとなる。展示から当時の様相を学んでほしい」と話している。(斎藤雅則)

 【メモ】企画展「新・すばらしき群馬のはにわ」の関連イベントとして、東京国立博物館研究員の河野正訓さんが11日午後2時から、「東京国立博物館の埴輪―群馬県域を中心に」をテーマに講演する。

 4日と5月9日の午後3時からは、県立歴史博物館の右島和夫特別館長のスペシャルトーク「すばらしき東国はにわの世界」を開く。学芸員のイブニングトークは10、18、24日、5月8日の午後3時から行う。いずれも会場は同館。

 定員は各70人、電話で予約する。問い合わせは同館(027-346-5522)へ。

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