《空からぐんま》渡良瀬遊水地 湖面に夕日 光の輪纏う
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 少し湿気を含んだ風が湖面に柔らかく吹いた。さざ波の間を跳ねるのはフナかコイか、それともバスか。波紋の数は日が傾くほどに増え、日没とともにおぼろになった。

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 9月中旬、渡良瀬遊水地の谷中湖。空を望めば、夕日を光の輪が囲む「日暈(ひがさ)」があった。本県最東端の水辺にも秋は確かに近づいていた。

 周囲の延長は約9.2キロ、面積は約4.5キロ平方メートルに及ぶ。利根川水系の上流9ダムの一つとして、首都圏の水がめとしての任に当たる。その存在は地域住民の暮らしの一部にもなっている。

 散歩、ジョギング、自転車にローラースケート。広大な湖畔で人々は思い思いに汗をかく。〈次はどこを目指そうか〉(SEKAI NO OWARI、RPG)。体を動かすことは日常であり、コロナ下の閉塞(へいそく)感を拭い去ろうともしているのだろう。

 この地はまた、北関東の結節点でもある。群馬、栃木、埼玉の三県境が接する田んぼがあり、湖の対岸に茨城県も望める。住むのは群馬、学校や仕事先は県外。そんな光景は当たり前だ。

 「地平線まで広がる田園風景。これから金色の稲穂がずっと広がります」。渡辺紀代乃さん(54)=栃木県栃木市藤岡町、@ashiharanokaze=が教えてくれたのは、生まれ育った板倉町の秋のこと。東京に住んだ経験もあるが、開放感やぬくもりを求めて地元へ帰った。

 松村隆さん(74)=同町離=は好物の一つにコイ料理を挙げる。子どもの頃は良く釣った。「昔は採って、今は買って。洗いにこいこく、有名なお店もある」。県境に長年暮らす身として、群馬への思いは? 「大好き。群馬県民って意識はいつもあります」

 2人は設立40年近い油絵サークル「葦(あし)の会」のメンバー。古里の風景、静物、人物を自由に描く。月に一度は町中央公民館で一緒に創作に励むが、今はコロナ下の影響を受けている。

 会員の減少や高齢化も進む。会長として渡辺さんが考えたのがインスタグラムでの発信だ。どんな絵を描いているのか、展示会の様子は。折々に伝えている。「ハードルは高くない。気軽に最初の一歩を踏み出して」。今日も画布に向かう。
(文・五十嵐啓介、写真・大橋周平)

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 上毛新聞社は11月30日まで、写真共有アプリ「インスタグラム」の公式アカウント(@jomo_shinbun)で、「#グンマーの秋」をテーマにした写真を募っています。

 投稿方法などは前記アカウントのプロフィール欄をご参照ください。一緒に群馬の良さを発信しましょう。集まった作品の一部は、断りなくインスタで転載したり、この面や地域面などで掲載したりします。

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「空からぐんま」は月1回掲載。次回は10月26日

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