キノコの世界は摩訶不思議! 国内8000種とも その生態に迫る《マニアアカデミア》
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県内で食べられる野生のウラベニホテイシメジ(左)とニセアブラシメジ=日本きのこ研究所提供
「キノコはおいしくて、健康に良い成分がたくさん含まれている。料理の幅を広げ、たくさん食べて」と話す中沢さん

 食欲の秋―。マイタケやホンシメジなどキノコがおいしい季節になってきたが、その生態についてはよく知らない人も多いのでは。群馬県桐生市でシイタケなど食用キノコの研究を行う日本きのこ研究所の顧問、中沢武さん(72)に聞いた。

 「キノコは形や色彩、においなど極めて多様。森の中や公園、芝生などで妖精のようなかわいらしいキノコに出合うこともしばしば」。23歳から研究をする中沢さんは、その奥深さについて目を輝かせながら語る。

 未知の部分が多いため研究や開発の領域が広く、取り組むべき課題が多い点も魅力という。まだ名前のないキノコも多数あり、国内では約2500種に名前が付いているものの、実際は約7000~8000種のキノコが存在すると言われている。「研究するわくわく感、成果が出た時の達成感は格別なものがある」と力を込める。

野生に注意

 野生キノコは栽培キノコにない独特な食感や味、香りが楽しめる。ナメコ、ヒラタケ、マイタケといった栽培されているものも野生で発生しており、キノコ狩りなどで旬の味を手に入れる人も少なくない。

 だが、「キノコ狩りは熟達者に同行してもらうか、鑑定を確実に行う必要がある。疑問のあるキノコには決して手を出さないで」と注意を呼び掛ける。

 方言で別のキノコの名前で呼ばれる野生キノコもある。本県ではウラベニホテイシメジ(方言名・イッポンシメジ)がおいしいと知られる一方、正式なイッポンシメジは有毒なので混同に注意。同じくおいしいニセアブラシメジ(方言名・カキシメジ)も、正式なカキシメジは有毒だ。

 キノコは生育期間が短く、一般的には数日~数週間で形そのものがなくなったり、崩れたりするものが多い。「長い間探して見つからなかったキノコに思わぬ場所で偶然に出合えることもある。こうした出合いは大きな喜び、そして感激。キノコの世界は摩訶不思議!」と声を大にする。

産地と味の違い

 産地による味の違いについては、「野生キノコだと、人が食べて違いを感じるほどの違いは基本的になさそう」とみる。一方で、科学的データとしては確認されていないが、産地によって環境や収穫されるまでの期間が異なるため、食感や食味、成分に影響する可能性はあるという。

 海外では、好んで食べられるキノコが異なる。日本で最初に栽培化されたのはシイタケだが、西ヨーロッパでは家畜のふんから発生するマッシュルーム、東南アジアでは稲わらから生えるフクロタケが最初に栽培化され、現在も継続して好まれている。近年は多様なキノコがさまざまな国で流通しており、「デパートの食品売り場などで、こうした輸入キノコを探すのも面白い」と提案する。(高野誠也)

 キノコの性 キノコの胞子にも動物や植物のように「+」と「―」の不和合性因子という性の違いがある。1個のキノコが作る多数の胞子は、全て同じではなく性や遺伝的背景の異なる胞子が混在しており、こうした胞子をもとに品種改良されている。コメに「コシヒカリ」などの品種があるように、シイタケなどにも多くの品種が存在する。

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