横山秀夫さん「影踏み」 全編群馬ロケで映画化 来春以降公開
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「登場人物の葛藤やジレンマを描きたい」と意気込む(右から)横山さん、山崎さん、篠原監督
インタビューに答える(左から)篠原哲雄監督、山崎まさよしさん、横山秀夫さん

 群馬県の伊参いさまスタジオ映画祭などでつくる「影踏み製作委員会(仮称)」は22日、作家、横山秀夫さんの連作短編小説「影踏み」を、歌手の山崎まさよしさん主演で映画化すると発表した。同映画祭誕生のきっかけとなった「月とキャベツ」で山崎さんを主演に起用した篠原哲雄監督がメガホンを取る。全編を県内でロケーションし、来春以降に全国公開する予定。

◎横山さん「組織と個人見つめる」/山崎さん「目線の在り方に共鳴」/篠原さん「主人公の存在意義を」

 「影踏み」は民家に忍び込んで窃盗をする「ノビ師」が主人公。警察などの組織と個人の相克を描くことが多い横山さんの小説では異色の作品だ。

 上毛新聞の取材に篠原監督は「一人の男が成長し、愛を獲得し、決別する物語。どう映画にするか格闘している」と話し、山崎さんは「歌を作るときは主人公と同じ底辺からの目線。主人公との共通項を多く見つけ、演じたい」と意気込んだ。横山さんは「2人がつくってくれる世界観の影踏みを楽しみたい」と話した。

 プロデューサーは伊参スタジオの設置に携わり、「月と―」をプロデュースした松岡周作さんが務め、主題歌は山崎さんが担当する。5月下旬にクランクインし、前橋や高崎、伊勢崎、中之条などを中心に県内で撮影する。山崎さん以外の出演者は随時発表する。山崎さんの長編映画主演は「8月のクリスマス」以来、14年ぶり。

 2016年11月に中之条町で開かれた第16回映画祭で、山崎さんと松岡さん、篠原監督らの対談が行われ、横山さんが映画シナリオ大賞審査員を務めた。その際、山崎さんが以前からファンだった横山さんにあいさつし、映画化の話が持ち上がったという。

 地方の映画祭が本格的な商業映画を企画する事例はあまりない。群馬発の映画であることから、上毛新聞社は創刊130周年記念事業の一環として参画する。

 《ストーリー》 主人公、真壁修一は深夜に民家に忍び込んで泥棒をはたらく「ノビ師」。彼の頭の中には、15年前に母親が起こした無理心中で死んだ双子の弟、啓二が住み着く。かつて同じ女性(ヒロイン、久子)を愛したがゆえに、ゆがんだ関係の修一と啓二。そんな修一に幼なじみの刑事の変死、久子に迫るストーカーと事件が降りかかる。ある時は憎み、ある時は愛した弟への思いを軸に、久子との恋や謎の女、葉子の存在が絡み、事件は思わぬ方向に進む。

◎「影踏み」映画化で一問一答

 元上毛新聞記者で作家の横山秀夫さんの小説「影踏み」が、歌手の山崎まさよしさん主演、篠原哲雄さん監督で映画化されることが22日、発表された。横山さんらは上毛新聞の取材に応じ、映画への思いを語った。一問一答は次の通り。

―なぜ泥棒が主人公か。
 横山 組織と個人の関係を突き詰めれば、最終的には国の中でしきたり、しがらみを抱えて生きる人間にたどり着く。その部分を極めるため、地面すれすれの泥棒を主人公にし、組織と個人を見つめた。

―映画に期待することは。
 横山 「月とキャベツ」は何度も見て大好きな映画。本は読む人によって全く別ものになる。篠原さん、山崎さんの解釈ですてきな映画にしてほしい。

―どのような映画にしたいか。
 篠原 なぜ泥棒をしているのかに主人公の存在の意味があり、そこをどう捉えるかを考えている。映画を撮る時には結論が確実にあるわけではないので、山崎君に演じてもらい、見えてくるものがあると思う。映画は現場や土地、ロケの力が、人の力を使って結集する。そこに集中できるよう環境を整え、奮闘したい。

―山崎さんは群馬での撮影は「月と―」以来だ。
 山崎 少し前に「月と―」のロケ地に行ったが、雰囲気が全く変わっていなかった。伊参スタジオがある中之条町も当時から映画撮影を奨励していて、映画への熱いものを感じた。それは脈々と続いている。

―どう主人公を演じるか。
 山崎 歌を作る時は底辺から上を見たり、景色を見て、作っているつもり。そういう意味で目線の在り方は主人公と同じ。いかに共通項を見つけていくか、それは多い方がいい。真壁は壮絶な人生なので、僕とどうシンクロするか分からないが、なるべく真摯しんしに主人公と向き合いたい。

―主題歌も担当する。
 山崎 悲しさや、どうにもならない気持ちを歌にし、最終的には報われるような主題歌にしたい。登場人物のほぼ全てが抱えているジレンマや葛藤を、いかに成就していくかが醍醐味だいごみ

―俳優としての山崎さんをどう見る。
 篠原 久しぶりの主演で彼は不安だと言っているが、現場で面白いやりとりができればいい。山崎君は男の駄目なところを、自然に演じてしまう愛すべきアウトロー。山崎君の力をどう引き出せるかが楽しみ。

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