文字が織りなす宇宙 自閉症の中島さん(前橋) 海外展に続々出品
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細かな漢字がぎっしりと描き込まれた中島さんの作品「鶴橋Ⅰ」
通所施設で制作に取り組む中島さん

 ボールペンで記号や文字を無数に連ねる制作手法を特徴とする中島涼介さん(35)=前橋市城東町=の作品が国内外で注目されている。昨秋のフランス国内での企画展参加を皮切りに、スウェーデンで6、7月に開かれた企画展に展示され、9月にパリで始まる展示会への出品も決まった。自閉症と向き合いながら制作に取り組み約20年。障害の有無に関わらず表現者の創造性に触れる「アール・ブリュット(の芸術)」の考えが浸透し始める中、活躍の場を広げている。

◎漢和辞典や看板で文字を記憶 抽象画の趣

 中島さんは幼少期に自閉症と診断され、現在は同市内の障害福祉サービス事業所、光明園(箱田光泰管理者)に通う。15歳ごろからボールペンで記号のような線を無数に連ねた「絵」を描き始め、次第に漢和辞典や看板などで記憶した文字も取り入れるようになった。紙いっぱいに埋め尽くされた記号や漢字は、抽象画のような趣がある。

 中島さんの母親は「息子が描く行為は気分を落ち着かせる安定剤のようなもので、生活の一部になっている」と話す。同園で絵画を指導する工房あかね(高崎市)の前島芳隆さん(60)は作品を初めて見たとき、「常識を揺さぶる力強さがある」と衝撃を受けたという。全国各地で展示するうちにフランス・ナントの企画展主催者の目に留まり、昨年10月から今年1月にかけて初めて海外に作品を出した。

 日本とスウェーデンの国交150周年を記念して文化庁などが同国のソレンチューナ市で開いた「アール・ブリュット―日本とスウェーデン」展(6月3日~7月6日)では日本人出品者8人のうちの1人に選ばれ、8点を出品。今年9月から来年3月までパリで開かれる「アール・ブリュット ジャポネⅡ」展(東京都など主催)への出品も決まっている。

 作品が世界から注目されるようになり、前島さんは「ようやく実を結んだ」と感激。「これからも作品の魅力が伝わっていくといい」と話す。

 光明園を運営する社会福祉法人前橋あそか会の村山良明常務理事(55)は「軽作業の合間に絵画制作などを取り入れ、中島さんのように素晴らしい作品が増えている。今後も芸術活動に力を入れていきたい」と話している。

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