天皇、皇后両陛下 退位前最後の草津訪問 名残の夏 県民歓迎

 天皇、皇后両陛下は27日、静養先の長野県軽井沢町から群馬県草津町に移動し、草津音楽の森国際コンサートホールで、「第39回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティバル」のコンサートを鑑賞された。近年、両陛下によるアカデミー訪問と皇后さまのピアノ演奏が恒例となってきたが、退位前としては今回が最後。ホールや沿道には多くの県民らが詰め掛け、日の丸の小旗や手を振って歓迎した。

◎県防災ヘリ事故触れ「大変心配されていた」

 皇后さまは同日午後、草津音楽の森セミナーハウスⅡでワークショップに参加し、ピアノを演奏された。チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のソリストで、ホルン奏者のカテジナ・ヤブールコワさん、ソプラノ歌手のジェンマ・ベルタニョッリさんと協演。テンポなどを英語で質問し、ヤブールコワさんの演奏を「きれいな音」と話していた。

 約1時間のワークショップ後、陛下と共にコンサートを鑑賞。会場では、大沢正明知事や黒岩信忠草津町長らの出迎えを受けた。ピアノやバイオリンなどによるシューベルトの「ます」を聴いた両陛下は、盛んに拍手を送っていた。

 両陛下を見送った後、大沢知事は報道陣に「県民にとって来県は名誉なこと。退位後も草津に来られて、演奏を楽しんでいただきたい」と述べた。今月10日に中之条町の山中に県防災ヘリコプターが墜落した事故に関する会話があったといい、「両陛下は大変心配されていた」という。

 黒岩町長は「皇太子時代を含め、草津には数多くお越しいただいており、アカデミーを続けてこられたのも両陛下のおかげ」と感謝の言葉を口にした。退位後については、「今後も今まで通り草津を訪れ、音楽祭にご臨席いただけることを心から願っている」と話した。

 両陛下のアカデミー訪問は昨年に続き10回目で、群馬県の訪問は昨年のアカデミー以来。28日も草津町で静養し、29日に帰京する。

《演奏》皇后さまがワークショップ参加 「白鳥」をピアノ演奏

 皇后さまは27日午後、草津音楽の森セミナーハウスⅡで約1時間にわたってワークショップに参加された。ホルン奏者のカテジナ・ヤブールコワさんらと協演。ピアノでサンサーンス「白鳥」などを演奏した。

 会場に到着された皇后さまはヤブールコワさんらと英語であいさつを交わした。レッスンはホルンの演奏に合わせ、曲のテンポを確認しながら伸びやかな旋律で奏でた。演奏が終わると、皇后さまはヤブールコワさんの演奏をたたえ、曲の感想を語り合った。

 終了後、ヤブールコワさんは報道陣に「初めての協演で天国にいるようだった。皇后さまのピアノは心地よい音色で素晴らしい」と感想を述べた。

 夕方、天皇、皇后両陛下は草津音楽の森国際コンサートホールに到着。約600人の観客が拍手で迎えると、笑顔で応えられた。世界各地で演奏会を行うピアニストのクリストファー・ヒンターフーバーさんらによる美しい調べに聴き入っていた。

 出発される際は、大沢正明知事や音楽監督の西村朗さんらが見送った。アカデミーでピアノを受講している同志社女子大4年の今倉希望さん(21)=大阪府枚方市=は「両陛下は熱心に聴かれていた。また一緒に鑑賞する機会があるとうれしい」と話していた。

《歓迎》歓声に柔らかな笑み 住民や観光客が横断幕で歓迎

 天皇、皇后両陛下が群馬県入りされた27日、草津町では大勢の町民や観光客が横断幕を掲げたり、日の丸の小旗を振ったりして歓迎した。沿道からは「退位された来年以降も、これまでと変わらず音楽を楽しみに町を訪れていただきたい」と期待する声が相次いだ。

 午前11時45分ごろ、両陛下のマイクロバスが国道292号沿いの道の駅「草津運動茶屋公園」前に差し掛かると、集まった400人以上から歓声が上がった。県神社庁が準備した「ご来県ありがとうございます」などと書かれた横断幕を掲げて、出迎えた。

 東京都中野区から旅行で訪れたという小菅智将さん(26)は「お姿を拝見したのは初めて。通過の際、皇后さまがお立ちになって手を振っていらっしゃったのが印象的だった」と感激した様子。両陛下が鑑賞される演奏会を聞きに行くという宮崎清美さん(68)=同町=は「一緒に音楽を共有できることが本当に楽しみ。両陛下にはゆっくりと草津を楽しんでいただきたい」と話した。

 毎年、サルビアやマリーゴールドを国道沿いに植えて両陛下をお迎えする準備をしている町民有志も歓迎した。南雲美智子さん(82)と割石恭子さん(64)は「『きれいにしてお出迎えしよう』を合言葉に活動している。毎年楽しみで、こちらが元気をいただいている」と声をそろえた。

 有志の一人で、旅館「飯島館」の女将おかみ、飯島武子さん(76)は「先週末から客足が増え、両陛下のご来町に関する問い合わせも多い」と説明。町は本白根山の噴火以降、風評被害に悩んでいるだけに、「これを機に草津全体が明るい方向に向かってほしい」と期待を込めた。

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