創作こけし 全国一の維持へ知恵 職人高齢化や後継者不足で危機
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県庁で開かれた創作こけし展。県内のこけし作家による表情豊かな作品が並んだ=7月

 県内の創作こけし製造業が地域にもたらす効果は大きいものの、高齢化や後継者不足により、事業・技術継承が危ぶまれている―。群馬県の代表的な産業の一つである創作こけし製造業のこうした現状が、県北群馬渋川振興局の調査で浮かび上がった。全国一の創作こけし産地を維持することは地域経済の振興にもつながるとして、同局は地域おこし協力隊制度の活用などを提案。製造業者の多い渋川市は新たに開設する駅前交流センターに展示し、名産品のPRに力を入れる。

◎観光地の土産物で人気 県振興局「今なら間に合う」

 今年4~6月、県こけし協同組合に加盟し、こけしを製造している15社にアンケートと聞き取りを実施した。業者は前橋市8社、桐生市1社、渋川市4社、吉岡町と榛東村が各1社で、従業員数は計81人。昨年度の売上高は約3億6100万円、県内への経済波及効果は約10億4200万円と推定した。

 多くの業者が課題に挙げたのが事業継承だ。10社が「継承の意志がない」「後継者がいない」と回答した。低収益性や3~5年とされる修業期間、職場環境の改善、新たなニーズの創出を懸念する声も多かった。

 改善策として同局は、渋川市などに地域おこし協力隊制度の活用や共同常設展示・販売所の設置など、同組合には共同販促によるブランド化や共同研究、後継者育成支援を提案。市は11月にJR渋川駅前に開設する駅前交流センターに創作こけしの展示スペースを設け、地元工芸品を市民や観光客にアピールしていく。

 同局は事業継承について「今ならまだ(対策が)間に合う。こうした思いは、多くの経営者に共通しているのではないか」とみる。

 40年近く創作こけしを製造している田村工芸(同市川島)の田村昇代表(68)は「後継者がいないので何とかしたい。自分の年齢を考えると、仕事を続けられるのはあと4、5年。それまでに1人育てたい。地域おこし協力隊制度を活用できるなら、ぜひ実現してほしい」と期待を寄せる。

 新素材や工法、デザインを取り入れた群馬県のこけしは「創作こけし」「近代こけし」と呼ばれる。戦後、前橋市総社町周辺で、木工玩具職人が相次いでこけし製造に参入。観光地の土産物として人気となり、ピーク時の1965年ごろには同組合に130社が加盟した。観光や土産物への意識の変化などを背景に売り上げは減少したが、現在でも全国の生産量の約7割を占めている。

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