《ぐるっと点検ぐんま》「豆腐県」群馬 豆腐類の出荷額 全国一
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 鍋、マーボー豆腐、冷ややっこ―。主役にも名脇役にもなる豆腐は、季節を問わず食卓に欠かせない存在。経済産業省の工業統計調査によると、群馬県の2016年の豆腐、しみ豆腐、油揚げ類の出荷額は252億円。2位の愛知県(194億円)、3位の京都府(184億円)を大きく引き離し、全国一を誇る。県内企業は斬新なアイデアの商品を開発したり、販売方法を工夫したりして、新たな客をつかもうとしている。

□アニメキャラ
 豆腐製造で国内トップの「相模屋食料」(前橋市鳥取町、鳥越淳司社長)は同市内に7工場を持つ。商品は全国のスーパーやコンビニに並び、群馬県出荷額の大半を占める。

 12年に発売した人気アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターを模した「ザクとうふ」をはじめ、調理が簡単な「ひとり鍋」シリーズやチーズのような食感の「BEYOND TOFU」などユニークな発想で新商品を開発。個食化への対応や新たな購買層の獲得で業績を伸ばしている。

 品質にこだわり、地元産の大豆で豆腐を作るのは「群馬包装トーフ」(玉村町藤川、浅川直也社長)。8年前に大量生産をやめ、手作りの商品を主軸に切り替えた。

 きっかけは、浅川社長が小学生の娘に言われた「どうして朝から晩まで働いて作っている豆腐がこんなに安いの?」という一言だった。原料の高騰や日本人の食生活が変わる中、価格競争では生き残れないと判断。高品質、高価格の路線にかじを切った。07年に新ブランド「たまむらとうふ」を立ち上げ、地元の玉村町や藤岡市産の大豆を使った豆腐作りを始めた。

□ラッパ音響く
 販売方法にも工夫を凝らす。県内の百貨店や直売所への出荷に加え、移動販売も行う。昔ながらのラッパ音を響かせ、県央地域を中心にトラックで巡回。「待っている客の顔が浮かぶ。人とのつながりが何より大切」と浅川社長はほほ笑む。

 昔ながらの製法で変わらない味を提供するのは、伊勢崎市の華蔵寺公園近くにある老舗「茂木豆腐店」だ。4代目の茂木弘さん(60)は高い技術が必要な「天然にがり100%」の豆腐を作り続ける。伝統を守り、地域のファンに昔ながらの味を届けている。

◎小規模店 8分の1に

 小規模経営の豆腐店を取り巻く環境は厳しい。全国豆腐連合会(斉藤靖弘代表理事)によると、全国の豆腐製造事業所数は1960年に5万1500カ所あったが、2017年は6500カ所と、約60年で8分の1に減った。

 豆腐文化を守ろうと、相模屋食料は経営の厳しい企業の合併・買収(M&A)など、事業継続支援を積極的に進める。17年には日本ビーンズ(東京都中央区)の豆腐製造事業を譲り受けた。相模屋食料は「豆腐の健全な供給を続けていくために、地域に愛されている製造者の存在は大切」としている。(金子雄飛)

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