保守「一本化を」 大沢知事、会見開き4選不出馬表明 
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記者会見する大沢知事=6日午前10時10分ごろ、県庁

 任期満了(7月27日)に伴う知事選について、群馬県の大沢正明知事(73)は6日、県庁で記者会見し「今期限りで引退する」と述べ、出馬しないことを正式に表明した。3期12年務め、主な県政課題の解決に道筋を付けたことを理由に挙げた。知事選には山本一太参院議員(61)が立候補を表明したが、自民党県連内には山本氏擁立に異論がある。2007年の初当選時に保守分裂選挙を経験した大沢氏は「できるだけ一本化された中で選挙が行われることを期待する」と述べた。

不出馬を決めた理由について、大沢氏は子ども医療費無料化や特別支援学校の整備、高崎競馬場跡地でのコンベンション施設建設、八ツ場ダムの生活再建事業などを挙げ、「大きな事業の方向性が付いた」と説明。今後の県政に関しては「若い人にリーダーとして群馬県を引っ張っていってもらいたい」とした。

 初当選時、4期目の現職の多選を批判して「2期8年」を公約に掲げた経緯があり、「自分自身は3期目に当選した時に、今期限りという思いは持っていた」とも述べた。知事としてやり残したことがあるか問われ、言葉を詰まらせる場面もあった。

 山本氏を支持するかの質問には、「今この立場で、どうのこうのとは言えない。県連がしっかりとした方向性を出すのではないか」と述べるにとどめた。

 大沢氏は慶応大、海上自衛隊幹部候補生学校卒。旧尾島町議を経て1991年に県議初当選。県連幹事長や県議会議長を歴任し、2007年の知事選で初当選した。

自民県連「意見を集約」

 大沢正明氏の知事選不出馬表明を受け、自民党県連は候補者調整を本格化させる。出馬表明している山本一太参院議員への一本化が進むのかが焦点となる。

 県連会長代行の笹川博義衆院議員は6日、「県連会長(山本氏)が意欲を持たれていることは真摯(しんし)に受け止め、国会議員団、県議団で意見集約を目指す」と述べた。狩野浩志幹事長は「一本化も含め、県議と国会議員の意見を踏まえて対応する」とした。

 県連内では大沢氏の続投を望む声が根強く、「山本氏に対抗できるのは現職だけと思っていた」と肩を落とす県議もいた。

 大沢氏は2015年の前回知事選で自民、公明両党の推薦、連合群馬の支持を受けた。公明党県本部の福重隆浩代表は「今回の決断は残念。自民との連携は白紙の段階だ」と述べた。連合群馬の高草木悟事務局長は連合の政策を前向きに捉えてもらったと大沢氏に謝意を示し、知事選の対応については「白紙」とした。

◎山本氏「知事の判断」 県連会長は辞職へ

 大沢正明氏の知事選不出馬表明を受け、山本一太参院議員は6日、上毛新聞の取材に「政治家の出処進退は自身で決めるもの。3期12年務めた知事の判断なので、軽々なコメントは差し控えたい」と述べた。知事選については「志を果たすために全力で頑張る」とした。

 山本氏は同日、自民党県連会長職の辞職願を県連会長代行の笹川博義衆院議員に提出した。大沢氏が進退を表明した後に会長職を辞任する意向を示していた。

県民の思い応えた12年


《大沢知事会見》
 大沢正明知事の記者会見での主なやりとりは次の通り。

Gメッセ、八ッ場 完成控え… 沈黙20秒 無念にじませ


 ―不出馬を決めた理由は。
 12年県政に取り組み、特に特別支援学校は全地域に整備できた。コンベンション施設(Gメッセ群馬)も約10年かかって着工にこぎ着けた。八ツ場ダムは来年4月に完成する。大きな事業の方向性が付いた。この後は若い人にリーダーとして群馬を引っ張っていってもらいたいと思った。

 ―いつ決断したのか。
 3期目に当選したときに今期限りという思いは持っていた。3期目は(資金管理団体で)一切の政治資金は集めないことにしていた。それが全てを物語っている。

 ―次の知事への期待は。
 群馬県は町村部が非常に厳しい状況にある。鶴は両翼がしっかり羽ばたかなければ飛び立てないし、尻尾がしっかりしなければ方向が取れない。町村部に目を向けて県政運営していただければという思いは強い。

 ―出馬表明している山本一太氏は後継になり得るか。
 大臣をやられた方なので私の後継なんておこがましい。県連がしっかり判断することだと思う。(後継指名する)立場にない。

 ―保守分裂選挙への懸念は。
 私が知事になった時が分裂選挙で、経済界では現職を応援していた方が多く、遠慮が非常にあった。腹を割って議論できるようになるのに時間がかかった。しかし今の群馬県には時間がない。経済にしても国際戦略にしても官民一体となって進んでいかなければいけない。できるだけ一本化された中で選挙が行われることを期待している。

 ―支持者には4期目を目指して出馬してほしいという声もあった。
 非常にありがたく思っている。しかし多選という問題、73(歳)という年齢もある。引くべきだろうという思いが強かった。

 ―やり残した思いは。
 コンベンションにしても八ツ場にしても…(20秒余り沈黙)…思いはあったのは事実だ。

 ―残りの任期について。
 (平成)31年度の予算は県民のために作り上げた。自分自身、全霊をもって7月まで県民のために頑張りたい。

 ―退任後の生活は。
 県政の応援団としてしっかり協力したい。もともと特別養護老人ホーム(の運営)をやっていた。その関係で、まだまだご奉公できると思っている。

 ―県職員と県民へのメッセージを。
 12年間、県庁職員に支えていただいた。県民から親しく声を掛けてもらい、県政の課題を教えていただいた。その中で取り組めたことは、本当に幸せだった。その思いにも応えることができたかなと思っている。

ねぎらいの声相次ぐ

 大沢正明知事が今夏の知事選に出馬せず、今期限りで退任することを表明した6日、八ツ場ダム建設や特別支援教育の充実など、力を入れた施策の関係者からはねぎらう声が上がった。地域振興や暮らしやすい社会の実現などについて「しっかり引き継いでほしい」との要望もあった。

 八ツ場ダム建設に伴って高台に移転した長野原町の川原湯温泉。同温泉協会長の樋田省三さん(54)は「建設問題で揺れた大変な時期を共に過ごし、地域の思いを酌んで支援してくれた。同志のような気持ちがある」と感慨深そうに話し、「ダム完成後の式典に(現職としての大沢氏と)共に参加したかったのに残念」と肩を落とした。

 萩原睦男町長も「地元が建設問題で困難な時に先頭に立って踏ん張ってくれた」と功績をねぎらった。八ツ場ダム水没関係五地区連合対策委員長の桜井芳樹さん(69)は感謝した上で、「最後まで仕上げてほしい複雑な思いもある。ダム完成後も地元が良い方向にいくようしっかり引き継いでほしい」と要望した。
 大沢県政は特別支援学校の整備に力を入れ、障害のある子どもが地元で教育を受けられる体制を整えた。県特別支援学校PTA協議会長の大島佳織さん(49)は「子どもや家族にとってとても良かった。障害の有無にかかわらず住みやすい社会を実現する姿勢を、次の知事も継承してほしい」と注文した。

 6日の記者会見で、町村部の振興の重要性を強調した大沢知事。町村部の商工会などで構成する県商工会連合会長の石川修司さん(70)は「県小規模企業振興条例の制定をはじめ、小規模事業者に対する施策を真剣に取り組んでくれた」と評価した。

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