ヒラメやウナギ…「海なし県」で養殖定着目指す 3社が続々参入
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ジースリーが始めたウナギの養殖
海水の入れ替えを必要としないヒラメの養殖

 群馬県内の養殖業で新たな魚種に挑戦する動きが活発になっている。近年では異業種の2社がウナギの養殖に参入し、ベンチャー企業はヒラメ養殖技術の研究を進めている。いずれの魚種も高単価で需要があり、群馬県水産業の振興が期待される。

 太陽光発電所の施工、運営などを手掛けるジースリー(伊勢崎市下植木町、金子史朗社長)は今年、同市昭和町でウナギの養殖を本格化させた。5月に北米産「ロストラータ」種の稚魚など1万9000匹を輸入。水槽で1匹300グラム前後に成長させ、1年での出荷を目標にする。

 出荷先は検討中で、将来的には自社で開業する飲食店で価格を抑えて出す計画だ。養殖業許可は20万匹分で、規模拡大を目指す。金子社長は「海なし県で陸上養殖の可能性を追求し、日本のうなぎ食文化を子どもたちに継承したい」と話す。

 農産物生産販売などを手掛けるファームドゥグループ(前橋市問屋町、岩井雅之社長)は昨年、ウナギの養殖を始めた。渋川市行幸田の同社倉庫を養殖専用施設に改修。今年5月に初めて出荷した。

 一方、ヒラメの養殖では、陸上海水魚養殖システム開発を手掛ける環境技術研究所(前橋市下小出町、嶋田大和社長)が、手軽に養殖できる技術開発を進めている。

 陸上での海水魚養殖は通常、水替えに伴う海水輸送費や汚れた水の処理が課題となる。同社は同市六供町の開発センターで、1畳分のスペースの水槽に入れた海水を循環させて浄化する。水質浄化に詳しい前橋工科大の梅津剛准教授の技術を生かし、脱窒菌を使った装置で水槽の水をきれいにして戻すことに成功した。

 現在は試験用に約800匹を養殖。出荷に適した1匹1キロ超にするのに1年~1年半かかったが、今年は10カ月間の短期養殖を試み、秋に飲食店への出荷を計画する。

 昨年まで水深40センチで育てていたが、今年は20センチに変更したことで、1畳分のスペースに2段重ねで管理できる可能性も出てきた。嶋田社長は「より安定的なシステムをつくり、誰でも育てられるようにしたい」と話す。

◎マス類やコイの収獲量 全国上位 嬬恋はイワナ養殖発祥の地
 海がない群馬県の水産業は「内水面養殖業」と呼ばれる形が中心となる。県によると、2018年の収獲量はニジマスなどマス類が222トン、コイが149トン、アユが6トンだった。農林水産省の収獲量のまとめで、マス類は全国9位、コイは同4位と上位につける。

 県内の養殖技術を巡っては、県すっぽん加工販売協同組合の小貫勝博代表理事がスッポン養殖で全国に出向いて指導し、業者を育成。県養鱒ようそん漁業協同組合によると、嬬恋村の生産者が1957年に日本で初めてヤマメの人工ふ化に成功し、ヤマメ養殖発祥となった記録がある。

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