参院選群馬選挙区 清水真人氏が初当選 投票率は初の50%割れに
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初当選を決め、笑顔で花束を掲げる清水氏=21日午後8時15分ごろ、高崎市中尾町の選挙事務所
各党関係者や支援者を前に感謝の言葉を述べる斎藤氏(左)=21日午後8時45分ごろ、前橋市天川原町の選挙事務所
 

 72年ぶりに新人のみの選挙戦となった参院選群馬選挙区(改選数1)は、自民党公認の清水真人氏(44)=公明党推薦=が、野党統一候補で立憲民主党公認の斎藤敦子氏(51)=国民民主・社民両党推薦=と政治団体「NHKから国民を守る党」の前田みか子氏(47)を破って初当選を果たした。与野党両候補による事実上の一騎打ちとなったが、清水氏が40万0369票と斎藤氏に11万票以上の差をつけて勝利した。群馬選挙区の投票率は前回を2.33ポイント下回る48.18%で初めて5割を割り込み、過去最低となった。

 自民県連が新人候補を擁立するのは2001年の吉川真由美氏以来で、07年に選挙区の改選数が1議席に減って以降初。県連幹部が結集した陣営は、世襲候補ではない清水氏を「新たに国会に送り出す」と掲げ、総力を挙げて組織戦を展開してきた。

 市議2期、県議2期の実績を持ちながらも、地元高崎市以外では知名度が低いことから、選挙期間中は全県を遊説して顔と名前を売り込んだ。政策面では、幼児教育の充実や農業振興などを訴えて政権の継続を主張。終盤は12の郡市選対を活用した決起大会を各地で開き、票の掘り起こしを進めて勝利につなげた。

 野党統一候補の斎藤氏は、推薦を受ける国民や社民など野党各党派や市民団体、国会議員と連携して共闘をアピール。「市民と野党による統一候補」を前面に打ち出して戦った。消費税増税や年金問題などで与党への対立軸を示し、支援政党の組織固めに加えて「草の根」の活動を展開したが、及ばなかった。

 前田氏はインターネットを通じた活動を中心に、遊説や街頭演説も行ってNHKの受信料制度が不公平だと主張してきたが、支持が広がらなかった。

しみず まさと 44 元県議 自民党新人=公明推薦
 【略歴】 自民党県参議院選挙区第二支部長、県ボウリング連盟会長。元県議2期、元高崎市議2期。明治学院大卒
 【公約】 (1)幼児教育の充実 (2)農林水産業の振興 (3)中小企業振興 (4)安心・安全な国づくり

◎「県民の思い国政に」…清水氏 初挑戦で歓喜
 「当選確実」。午後8時、速報がテレビで流れると、支援者で埋まった高崎市中尾町の選挙事務所は地鳴りのような歓声が湧き起こった。別室で待機していた清水真人氏は拍手の中を壇上へ。陣営の「勝利宣言」に深々と頭を下げると、緊張した表情は晴れやかな笑顔に変わった。

 星名建市選対本部長の音頭で万歳三唱。涙を浮かべる人、抱き合って喜びを分かち合う人もいた。

 「大変ありがとうございました」。当選のあいさつを、清水氏は感謝の言葉から始めた。「最初の遊説では『清水』と言っても誰も振り向いてくれなかった。しかし、多くの支援をいただき、最後には手を振ってもらえるようになった」。初めての参院選。知名度向上が課題となる中、選挙戦を通じて有権者の反応が大きく変わったと振り返った。

 報道各社のインタビューで「市議、県議時代は現場に足を向け、課題を捉えてきた。その姿勢を守り、群馬の皆さまの思いを国政に伝えたい」と誓った。幼児教育の充実や中小企業支援、農業振興に意欲を示した。花束を次々に受け取り、だるまに目を入れた。

 事務所には支援者のほか、自民党の小渕優子県連会長、国会議員、県議、市町村長らが駆け付け、当選を祝った。選対最高顧問の中曽根弘文参院議員は「国会で思う存分仕事ができるよう、応援していこう」と呼び掛けた。狩野浩志県議会議長は「地方議員の経験を生かし、仕事で恩返ししてほしい」と激励した。

《解説》「1強多弱」を反映
 年金、消費税、憲法が主な争点となった参院選は、自民、公明両党で改選過半数を大幅に上回り、「1強多弱」と言われる情勢を反映する結果となった。参院選は政権を国民がチェックする機会であり、安倍政権が一定の評価を得たと言えるだろう。

 群馬選挙区でも自民公認の清水真人氏が圧勝した。現職山本一太氏の知事選くら替えに伴う候補者公募を経て、公認候補となったのが今年2月上旬。党県連を挙げての組織戦が展開され、5カ月半という短い期間に県全域で支持を広げた。県内で2012年衆院選以来、国政選挙で一議席も落としていない自民が底力を見せつけた。

 野党統一候補の立憲民主党公認、斎藤敦子氏の獲得票は目標(47万)の6割にとどまった。国民民主、社民両党と連合群馬の「推薦」に対し、選挙区での候補者擁立を見送った共産党が「支持」と一歩引いた支援態勢を敷き、「市民と野党が共闘する仕組み」をつくった。選挙結果は無党派層への広がりが限定的だったことに加え、野党勢力の足腰が依然として脆弱ぜいじゃくなことを示した。

 24年ぶりに知事選と同日程になったにもかかわらず投票率は48.18%と過去最低を更新した。4月の県議選も過去最低となるなど、各種選挙で投票率が低迷している。今後、日本は世界で前例のない急ピッチの人口減少が進む。暮らしや社会の在りようを左右する政治への関心が高まることを望む。(報道部長・多田素生)

◎野党共闘 実らず…斎藤敦子氏「結果を次に」
 「えっ、もう決まってしまったの」。午後8時すぎ、速報で落選が伝わると、野党統一候補・斎藤敦子氏の前橋市天川原町の選挙事務所には落胆が広がった。

 立憲民主党公認で、国民民主、社民両党の推薦、共産党の支持を受けた斎藤氏。「結果を真摯しんしに受け止め、次に生かさなければならない。私の力が及ばず、心からおわび申し上げたい」と沈痛な表情で述べた。

 合同選対本部長を務めた長谷川嘉一・立民県連会長のほか、国民県連の後藤克己会長、社民県連合の南雲鋭一代表、共産県委員会の小菅啓司委員長らが集結。斎藤氏が床に手をついて謝ると「斎藤さんは頑張った」「そんなことするな」と激励の声が上がった。

 選挙責任者の角田義一氏は次期衆院選について「皆さんと相談しながら戦いたい」と述べた。斎藤氏の横で「頑張ろう」と三唱し、支持者と拳を突き上げた。

◎受信料批判も支持広がらず…NHKから国民を守る党・前田みか子氏
 政治団体「NHKから国民を守る党」の前田みか子氏は体調不良を理由に取材に応じなかった。午後8時半すぎ、前橋市下新田町の自宅で落選の知らせを受けたという。陣営幹部は「団体の知名度向上が目的で、選挙区の当選は期待していない。比例票獲得には貢献できたと感じる」と振り返った。

 NHKの受信料制度を批判して活動したが、支持が広がらなかった。

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