《あすを生きる》女性活躍推進 働き方や賃金 依然として男女差
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「研修にも参加し、必要なスキルを身に付けたい」と話す田中さん

 「赤ちゃんと一日中一緒にいるのは大変。妻の苦労が分かった」。1月に長女を授かった群馬銀行前橋支店(前橋市)の栗原章充さん(28)は7月中旬に育児休業を取得し、家族との濃密な時間を過ごした。

◎男性育休取得率 わずか6%と進まず
 休みは4日間。家族で公園や買い物に出掛け、自宅ではおむつ交換や料理などを積極的にこなした。派遣社員で育休中の妻(29)は「家族みんなで過ごせて良かった。私自身の息抜きにもなった」と話す。

 同行は2016年4月、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定。男性行員の育休取得率は100%を達成した。「同僚に業務のしわ寄せがいく」といった懸念から、現状は5日以内の取得が多いが、栗原さんは「職場で休みを取りやすい雰囲気が浸透した。週末の休暇と合わせて有効活用できた」とほほ笑む。

 女性活躍を掲げる政府は、女性が家庭と仕事を両立しやすいよう、男性の家事、育児参加を促している。だが、厚生労働省の18年度調査では、女性の育休取得率が82%なのに対し、男性はわずか6%にとどまる。

 背景には、根強く残る性別役割分担意識や、夫婦間の賃金格差が影響している。出産や育児を機に離職し、派遣社員やパートなどの非正規雇用となる女性が多いのが現状だ。

 国は希望する非正規社員が正社員に転換できるよう支援する方針を打ち出し、業界団体にも要請している。こうした中、子育て中の女性が正社員になるケースが徐々に増えている。

 コープぐんまのコープデリ桐生センター(桐生市)に勤務する田中友美さん(34)は、上司の勧めで7年前に正社員登用試験を受けた。当時は配送業務に携わるパート職員。正社員になれば勤務時間は長くなり、異動も伴う。だが、5歳の娘を育てるシングルマザーとして「生活の安定を優先した」。子どもを保育園に迎えに行くことや、夕飯の用意などは両親の協力を得ることにした。

 その後、再婚して2人目の子どもに恵まれ、産休と育休を取得。復帰後は時短勤務も活用した。現在は配送チームを束ねるリーダーを任され、顧客の新規開拓にも取り組んでいる。やりがいを持って働き、充実した日々を送る。

 ただ、「女性活躍」という表現には違和感を覚える。子育て中の女性が置かれている環境はさまざまだからだ。「各家庭の事情により、パートで働いたり、子どもと過ごす時間をより重視したりする気持ちも分かる。いろいろな働き方があっていいと思う」と語った。

「経済的な自立が大事」…県男女共同参画推進委員会長・大森昭生さんに聞く
 2016年に女性活躍推進法が施行され、女性が働きやすい環境を整備する企業が増えてきた。県男女共同参画推進委員会長を務める共愛学園前橋国際大の大森昭生学長は「女性活躍推進の一方向だけに集約されるのではなく、多様な生き方が受け入れられる社会を目指すべきだ」と強調する。

―男女共に育児休業の取得が進んでいる。
 各企業がコンプライアンス(法令順守)を意識して取り組んできたが、ここ数年は労働力不足の課題に直面し、危機感を持って働き方改革を進める企業が増えている。経営者の意識が変わってきたようだ。

―問題点は何か。
 男性の育休取得率の低さが指摘されているが、要因は性別役割分担意識や、取得しづらい職場の雰囲気だけではない。日本の育児休業給付金は休業前の賃金の67%が上限。夫婦の賃金格差を考えれば、生計を立てる上での“損得”から、どうしても女性が育休を取得する割合が高くなる。

―群馬県の子育て世代の女性の働き方は。
 女性の就業率は全国平均より高く、それは評価すべきだ。ただ、30代半ばで正社員と非正規社員の数が逆転し、それ以降は非正規率が高くなる。出産や育児を機に、働き方を変えていることが推測される。

―正社員と非正規社員の格差をなくす動きもある。
 できれば正社員として、出産後も働き続けるのが望ましい。出産、育児を理由に離職したり働き方を変えたりするのは女性。これには明らかなジェンダー差がある。しかし、もし夫がけがや病気で働けなくなったり、離婚することになったらどうするのか。そうした意味でも、女性が経済的に自立することは大事だ。

―女性活躍の将来をどう展望するか。
 活躍自体は望ましいが、推進だけになってしまうと女性が大変な思いをする。農業や自営業など、会社員とは違った働き方を模索する人もいる。ワークライフバランスも重視して、多様な生き方が受け入れられる社会になるといい。

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