《消費税10% 増税前夜》駆け込み需要にばらつき 日用品に殺到
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まとめ買いをうたってセールを展開するホームセンターのジョイフル本田新田店(太田市)

 「2%は大きい。増税前に買っておいた方がいいと思って」。群馬県高崎市の主婦(66)は前橋市内の百貨店で洋服を購入していた。薬や文具などの日用品も9月中に購入する予定。月末までに「買い忘れがないか、夫と一緒にチェックする」と準備は入念だ。

 消費税率引き上げ前に、少しでも負担を抑えようと駆け込み需要が膨らんでいる。企業側も商機を逃すまいとセールを展開する。

■「どうせなら」
 「『どうせ買うなら増税前に』と考える消費者が多い」と話すのは家電量販店、ベイシア電器(前橋市)の担当者。5%から8%に引き上げられた2014年ほどではないが、冷蔵庫や洗濯機、大型テレビなど高額商品の売り上げが伸びているという。9月は前年同月比5割増を目指し、PRに力を入れる。

 日用品を扱う店はまとめ買いを想定し、需要の取り込みを図る。クスリのマルエ(前橋市)が展開するマルエドラッグは同一商品の複数購入を割引する「まとめ買いセール」を9月末まで実施。トイレットペーパーや紙おむつなどの売れ行きが好調という。給与の支給が集中する月末にかけてはさらなる需要を見込み、「手頃な価格の商品を用意したい」とする。

 ホームセンターも同様のセールを展開するほか、自動車用品店ではこれからの時季に使う冬用タイヤが売れている。

 前橋市の主婦(35)はティッシュや洗剤、化粧品をまとめ買いする計画で「価格を見比べ、購入する店を選ぶ」とシビアに分析。同市の女性(67)はまとめ買いをする余裕はないとして「増税後の生活が不安。出費をさらに切り詰めなければ」と打ち明けた。

 一方、自動車業界は税制が大幅に変更されることもあり、駆け込み需要は限定的のようだ。自動車取得税が廃止され、10月に新たな環境性能割が導入される。燃費性能などに応じた税率は自家用登録車の場合0~3%だが、増税の影響を緩和するため1年間はこの1%相当が軽減され、車種によっては増税の前後で税額に大きな差はないという。

■住宅落ち着く
 群馬トヨタ自動車(高崎市)は「今のところ、大きな駆け込み需要はない」と落ち着いた様子。これに対し、群馬日産自動車(前橋市)は増税後に消費者心理が冷え込むことを懸念し、「駆け込み後の反動減を最小限に抑えたい」としている。

 住宅のヤマダホームズ(高崎市)は、注文住宅などの契約で税率8%の適用対象期限だった3月末にかけて駆け込みの契約があったが、「現在は落ち着きつつある」とした。

 群馬経済研究所(前橋市)は宝飾品や化粧品などの高額商品を中心に駆け込み購入が見られるとし、増税直前には「日用品やガソリンの需要が急増するだろう」と分析。10月以降の一定の反動減は避けられないとする一方、自動車や住宅では消費増税に合わせた国の減税対策などがあるため、「全体的には14年の前回引き上げ時ほどの経済的な落ち込みはないのではないか」と予測している。

◎「若者施策に活用を」 無料学習塾を運営する高橋寛さん
 生活困窮世帯向けに無料学習塾を運営するNPO法人学習塾HOPE代表の高橋寛さん(70)=高崎市=に、消費税増税による暮らしへの影響や、増税分を国がどう活用すべきかについて聞いた。

 ―増税で暮らしはどう変わるか。
 生活困窮世帯が特に困っているのは子どもの教育費だ。消費税が3、5、8、10%と段階的に上がってきたのに対し、所得は上がらず、教育へのしわ寄せがじわじわと出てくると懸念している。家計が苦しくなり、子どもたちの気持ちまで内向きになることを何とか避けたい。

 ―外食、酒類を除く飲食料品などには軽減税率制度が導入される。
 軽減税率は賛成だが、外食と中食などの線引きが複雑で分かりにくい。ファミリーレストランなど、未成年がよく利用するお店は8%のままでいいのではないか。外食はプラスチックごみを減らせるという側面もある。生活困窮世帯が安心して食べられる制度にしてほしい。

 ―増税分は幼保無償化などの社会保障に充てられる。
 少子化対策の一環で幼保無償化に踏み切ったのは評価できる。ただ、学年が上がるにつれて体育用品代や修学旅行費など多額の自己負担を強いられる。教育無償化をうたうなら、学校生活に必要な費用も援助すべきだ。日本はまだまだ高齢者向けの施策が手厚いと感じる。若者中心に転換し、税収が次世代のために使われるという実感を持てる施策に期待する。

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