保湿効果で肌に優しい生地に 海藻に含まれる自然素材で共同開発
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新開発した技術で加工した布をPRする金井代表(右)と高田さん

 染色加工の金井レース加工(群馬県桐生市広沢町、金井雄一代表)と県繊維工業試験場(同市相生町、石井克明場長)は共同研究で、保湿効果が期待できる成分「アルギン酸カルシウム」の膜を繊維の表面に付着させる新技術を開発した。肌に優しい生地素材として、美容業界や下着メーカー、医療品製造業者などに売り込む。

◎スキンケアにも使われる成分 加工も簡単に
 アルギン酸はワカメや昆布などの海藻に含まれる成分で、スキンケア効果が高いとされる自然由来の素材。食材に粘り気を持たせる増粘剤やゲル化剤といった食品添加物に用いられる主成分でもあり、口に入れても安全という特長も持つ。

 両者が開発した新技術は、帯電した湯に繊維をくぐらせ、繊維表面にプラスの静電気を発生させる「カチオン化」という処理を施すもの。カチオン化した繊維を水に溶けやすいアルギン酸ナトリウムの液に漬けながら、カルシウムイオン液を徐々に加えていくと化学反応が起き、繊維の表面にアルギン酸カルシウムの薄い膜が形成される。

 アルギン酸ナトリウム液とカルシウムイオン液を2段階に分けて塗布する従来の技術と比べて時間が短縮でき、手間がかからない利点があるという。

 一方、紫外線の散乱作用を持つ粒子を繊維に吸着させる技術も同時に開発した。紫外線から肌を守る効能が付加できるとしている。

 同社は1978年の創業以来、女性下着のレース加工を手掛けているが、競合他社との差別化を図るため美容に関する自社技術を確立しようと試験場に相談。2018年に試験場の公募型共同研究に採用され、19年1月に試験場を通して特許を申請した。

 加工した繊維は吸水作用が高いため、服飾メーカーだけでなく、タオル製造者にも提案する。医療現場での採用も見込む。金井社長は「展示会でアピールし、一つずつ商品化につなげていきたい」と意欲的に話す。

 技術開発を担当した試験場の高田彩加さんは「さまざまな有効成分を繊維に付着できる技術。他の物質との組み合わせも考えられる」と応用性の高さに期待している。

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