《NEWSインサイド》改正市場法 来月施行 逆風の中 門戸拡大策
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卸売業者の威勢のいい声が飛ぶ青果のせり=23日、前橋生鮮食料品総合地方卸売市場
 

 地方卸売市場の開設に群馬県の許可が不要となるなど、規制を緩和する改正卸売市場法が6月21日に施行される。新規参入による活性化と民間活力を引き出す狙いがある一方、卸売市場には地域への食料品の安定供給という公共的な役割が引き続き期待される。現状では生産者と消費者の接点の多様化などを背景に、市場での取扱額は徐々に縮小。新型コロナウイルス感染拡大による影響も重なり、市場関係者は今後の経営や存続について思いを巡らせている。(北沢彩)

■「じり貧」■
 活動範囲が県境を越える中央卸売市場は、豊洲市場(東京都)など全国に87カ所ある。県内に中央卸売市場はなく、地域に根差した地方卸売市場が14カ所ある。

 法改正で国は食品流通の合理化を促すとともに、生産者である農林漁業者の所得向上を目指す。集荷や分荷、価格形成、代金決済といった調整機能を重視しながらも、新たなニーズの開拓や付加価値向上を卸売市場に要請。柔軟なルール設定などにより、門戸を広げるよう求めている。

 地方卸売市場では、これまで必要だった県の許可なしで開設が可能になる。参入におけるハードルは格段に低くなるものの、北毛地域に市場を設置している男性社長は「各市場はじり貧で、ビジネスモデル的に考えても新規参入はないだろう」と冷静に受け止める。

 農林水産省によると、市場を介して購入者の元へ届く「経由率」で、1989年に82.7%だった青果物は2016年に56.7%まで低下した。群馬県も全国と同様の傾向で、市場の取扱額も縮小。17年は県全体で877億1700万円と、25年間で約4割減った。食生活の欧米化を背景に食肉は横ばいだが、青果は半減しており、より深刻な状況だ。

■2割申請せず■
 開設許可は不要となるが、新たに県の認定制度が設けられる。認定市場は、施設整備の際に国から4割の補助を受けられるほか、名称に「地方卸売市場」を付けられるなど一定のメリットがある。認定を受けるためには、年1回の財務状況報告や不定期の業務状況報告などが必要となる。

 既存市場も認定を受ければ施設整備費を抑えられる利点があるが、県内の少なくとも2割は認定申請をしていないのが現状だ。

 県央地域の市場設置者は「大手スーパーが契約農家を持ち、ネットで生産者と消費者が直接やりとりできる時代。市場外取引がこれだけ多くなっても『地域の台所』と言われるのはつらい」と打ち明ける。今後の設備更新は考えておらず、ゆくゆくは閉鎖も検討するとした。

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