《NEWSインサイド》マイナンバーカード コロナ禍で普及転機か
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マイナンバー関係の相談や手続きで混雑する前橋市役所の窓口=5月
タクシー内でマイナンバーカードを提示する活用例。前橋市は「マイタク」で運賃を割引している

 交付開始から4年半となるマイナンバーカード。一律10万円を支給する国の特別定額給付金のオンライン申請に活用され、にわかに国民の関心が高まったものの、県内交付率は依然、1割超にとどまっている。制度上、マイナンバーカードの取得は任意で、情報漏えいへの不安や用途の乏しさなどから浸透してこなかった経緯がある。今後、国のポイント付与事業での活用や健康保険証としての利用が見込まれる中、利便性の向上によって取得が進むか注目される。

■1時間待ち
 5月の大型連休明けの前橋市役所。マイナンバーカードの担当窓口は混雑し、昼前には1時間待ちの掲示が出た。「今まで必要ないと思っていたが、新型コロナウイルスの収束が見通せない中で、何かの役に立つのではないか」。カード取得のために訪れた男性会社員(55)は、そのまま順番を待ち続けた。

 混雑したのは、カードの新規取得のほかに、定額給付金のオンライン申請に必要な暗証番号を忘れ、再設定する手続きが目立ったためだ。制度開始から5年目を迎え、カードに登録された電子証明書の更新時期も重なった。

 同市市民課によると、1週間に300~500件程度だったカード申請件数は大型連休明けから急増し、5月中旬には1500件弱まで伸びた。ただ、こうした増加傾向がどこまで続くかは未知数だ。

■ひも付け
 マイナンバー制度は、社会保障、税、災害対策の3分野での行政手続きの簡素化などを目的に2016年に導入された。新型コロナ対応を巡っては、国民に番号を割り当てる制度が浸透した欧米などでは銀行口座とのひも付けによって迅速な現金給付が行われたが、国内ではトラブルや遅さが目立った。政府は口座とのひも付けについて、来年以降の義務化を目指している。

 一方で全国的にカード交付率は低迷を続けている。県内でも自治体が出張窓口を設けるなどして普及を図ってきたが、県全体での交付率は1割超にとどまる。コロナ禍での一連の動きが転機となるか。今後の動向が注目されている。

■ポイント
 国や自治体の活用策は増えつつある。国は消費増税後の景気の下支えとカードの普及を狙い、キャッシュレス決済で使えるポイントを付与する「マイナポイント」の申し込みを今月開始。2万円のチャージや買い物をすると上限5000円分のポイントがもらえる。25%という高い還元率が注目され、申し込みが始まった1日、前橋市役所の支援窓口にはカード取得、マイナポイントの予約・申し込みで通常の倍の約100人が訪れた。

 同市はカードを使った複数の独自策を展開。移動困難者へのタクシー運賃助成事業「マイタク」では、客が車内のタブレット端末にカードをかざすことで運賃を最大1000円割り引く。マイタク登録者約2万7000人のうち、2割弱に当たる約5000人がカードを利用。紙の利用券と比べ、タクシー会社や市役所の事務処理が大幅に改善されるという。

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