《NEWSインサイド》苦境の県内バス業界 減収 安全経費も重く
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 新型コロナウイルスの影響で利用客が減少し、群馬県内バス事業者の収益が悪化している。66社が加盟する県バス協会(前橋市)は、2016年の長野県軽井沢町のスキーバス転落事故や、昨年5月に南牧村で起きた無許可運行バス(白バス)の事故などを契機に、さまざまな取り組みを進めてきた。だが、新型コロナの感染拡大に伴い予約取り消しが相次ぎ、各社の売り上げは激減。車両整備や運転手の教育といった安全運行に必要な経費は削れず、各社の苦悩が続いている。(黒沢豊)

■再発防止
 大学生ら15人が死亡した軽井沢の事故を受け、貸し切りバス事業者は全国10地域にある国土交通省の指定機関「貸切バス適正化センター」から、同省のマニュアルに基づく巡回指導を受けるようになった。関東では、同センターが委託した各県のバス協会で加盟社への指導を実施。経費は会費で賄われている。

 安全性を高めるため、各社はさまざまな再発防止策を講じる。貸し切りバスを運行する多野観光(高崎市新町)では、ワンマン運転の車両にも運転手と補助要員の2人が同乗。業務の負担軽減に加え、「運転時の癖などを互いに指摘し合うことが、経験値や技術の向上につながる」(担当者)という。

 同社は衝突軽減装置を搭載した車両の購入など、設備投資にも積極的だ。担当者は「安全確保のための必要経費は増えている。新型コロナで団体予約が取り消され、経営は厳しいがやむを得ない」と話す。

 上信観光バス(高崎市芝塚町)は、従業員研修を充実させている。自動車ディーラーの社員を招いてバスの構造や特性を知る講演会を開いたり、損害保険会社の社員から事故事例を学ぶ機会を設けたりしている。管理栄養士による健康管理の助言もある。

■客足遠く
 県バス協会によると、新型コロナに伴う予約の取り消しは2月ごろから出始めた。その影響は尾を引き、同協会の野口政治常務理事は「加盟社の多くは今も売り上げが(月別の比較で)前年の1~2割。ほぼゼロのところもある」とする。

 政府の緊急事態宣言は解除されたが、東京都や近県で再び感染者数が増えていることもあり、「貸し切りバスの客足が戻るのは(他の業界よりも)遅いのではないか」と予測する。各社は収益が悪化する中でも、「安全運行のための経費はかけ続けなければならず、経営は苦しい」と訴えた。

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