《NEWSインサイド》高崎駅東口の再開発 順調な進展へ来月山場
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JR高崎駅東口の再開発ビル建設予定地。今後の進展に関心が寄せられている
手指消毒や検温をして会場に入る県内の青年会議所関係者=4日、高崎・Gメッセ群馬

 群馬県のJR高崎駅東口で計画されている複合高層ビルなどの再開発に遅れが生じている。地権者間で計画の合意に至っておらず、ビルに誘致を進めるホテルもまだ具体名が公表されていない。水面下で進むホテルとの交渉を含め、順調に進むかは年内が正念場となる見込みだ。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、Gメッセ群馬や高崎芸術劇場といった駅周辺の集客施設の利用減が、ホテルの需要予測にどう影響を与えるかも懸念される。(真尾敦)

 市は昨年度の当初予算に、ビルの設計などのための補助金約4億8000万円を計上したが、執行できなかった。理由について、市は決算を審議した9月の市議会特別委員会で、「準備組合で計画の合意に至っていない」と説明した。

■法定組合先延ばし
 昨年3月の市の発表によると、ビルは高さ98メートル、延べ床面積10万平方メートル。ホテルや事務所、マンションなどで構成。準備組合は市をはじめ、予定地で店舗や事務所を構える事業者、地権者からなる。都市計画決定を経て、法定組合への移行が今年春ごろになると見込まれたが、いまだに準備組合のまま。ビルの完成時期などは明らかにされていない。

 建物利用に関わる権利関係などの整理に時間を要しているとみられる。ある組合関係者は「会議を月1回開く予定だったが、できていない。法定組合への移行は先延ばしになっている」と打ち明けた。

■ホテル誘致交渉
 ホテル誘致では、新型コロナに伴う移動自粛で関係者が都内から移動できず、一時交渉が滞った。現在は再開し、市は「ターゲットを絞り、詳細を詰めている段階。調整は順調に進んでいる」とする。

 ホテルは施設の所有者と、運営者が別となる「MC方式」を採用。現段階で運営者は候補が挙がっているが、経営にも責任を負う所有者が決まるかどうかが焦点となりそう。

 新型コロナの影響を巡っては、宇都宮市の再開発事業で外資系ホテルが進出を見直し、開業に遅れが生じたケースもある。高崎市の兵藤公保副市長は「高崎はインバウンド(訪日外国人客)などの観光ではなく、ビジネス需要が見込まれる」と強調。ホテル撤退などの動きはないとした。

 富岡賢治市長が「発展する群馬の表玄関」と誇る駅周辺の新施設群。その仕上げとなる東口の再開発だったが、来年度に国や市の補助金を使って事業を進めるには「11月がヤマ場」と見る関係者もおり、動向が注目される。

◎宿泊需要、施設集客が鍵
 高崎市などが構成団体となり、JR高崎駅東口で計画される再開発ビル。ビル内へのホテル招致の鍵を握るのが近年、周辺に整備されたGメッセ群馬や高崎芸術劇場、高崎アリーナの集客だ。各施設に人が集まれば、その分、ホテル利用の需要が高まるからだ。

 各施設とも新型コロナウイルスの影響で予約のキャンセルが相次いだが、徐々に持ち直しつつある。

■誘致に力
 6月に開業したGメッセは9月末時点の集計で本年度の予約取り消しが139件に上り、最大規模の展示ホールが使われたのはわずか5日間しかない。だが、広さを生かして密を避けられるとして、映画やドラマのロケに使われたり、学習塾の夏期講習、資格試験の会場になったりと「想定していなかった使い方」(県イベント産業振興課)が増えているという。

 Gメッセに県内の青年会議所関係者が集まった4日の大会では、山本一太知事が「全国のコンベンション施設は非常に苦戦している」と現状を説明。大沢正明前知事時代に施設整備が進められたことを踏まえて「(興行関係者から)こんなに箱(建物)を造ってどうするんだと言われた」としつつ、近隣の各施設の特長を生かして「音楽の聖地にする」と公演誘致に力を入れる考えを示した。

■チャンス
 高崎アリーナは2~8月に約9万人の来場を予想していたが、48件が中止や延期となった。だが、9月に内村航平選手らが出場した体操大会、10月に全国規模の新体操2大会が開かれるなどスポーツ関連の利用が再開されつつある。

 高崎芸術劇場も約10万人の来場を見込んでいた同期間に81件の公演が中止または延期となったものの、9月以降は76件の予約が入り、満席の催しもある。

 一方、各施設とも海外から演奏者や選手を招くイベントに関しては、調整が難しい状況が続いている。

 再開発ビル内のホテルは海外を含む賓客が宿泊することを視野に入れているが、コロナ禍を背景に、これまでホテルなどで開催されていた各種会合のオンライン化がさらに定着する可能性もあり、需要予測には不透明感が漂う。

 ただ、新型コロナの新たな陽性判明が続いているとはいえ、群馬県は東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)に比べて感染者数は少なく、踏みとどまっているともいえる。この状況を踏まえ、上武大の小関広洋教授(経営学)は「公演中止で苦境に立たされている伝統芸能など一流の人を招くチャンス。教育にも役立てられる」と指摘している。

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