《NEWSインサイド》群馬県民会館揺れる存廃 県有施設見直し
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県有施設としての廃止が検討されている県民会館
県ライフル射撃場を視察する県議会特別委の委員ら=10月19日

 群馬県有10施設について廃止や再整備などを検討するとした県の中間報告が公表され、来年2月の最終報告に向けた議論が注目されている。特に前橋市のベイシア文化ホール(県民会館)は「県有施設としては廃止を検討」とされたが、「本県文化の殿堂」として整備された経緯もあって存続を望む声は根強い。県は多大な改修費や厳しい財政事情を背景に県議会などに理解を求め、同会館をはじめ類似施設を所有する前橋市との協議もスタートさせた。(三神和晃)

 見直しに向け、県は大学教授や税理士ら7人でつくる委員会を設置し、2月に対象となる10施設を公表した。現地調査や県の関係部署、委員会の意見聴取などを基に中間報告をまとめ、10月に県議会の特別委員会に示した。

■半世紀の歴史

 県民会館は半世紀の歴史を持つ施設だけに、反発は大きい。文化団体などからは、(1)県庁所在地にあり、県内全域から参加しやすい(2)2千人規模のホールが前橋市内になく、代替となる施設が機能するか不透明(3)音響設定など蓄積したノウハウや職員の技術への信頼感―といった理由から存続を望む声が上がる。

 同会館については、県文化審議会の「あり方検討部会」が必要最小限の改修を求めた2017年の報告書などを受け、工事が今年始まる予定だったが、見送りとなっている。

 一方、改修に約30億円、その後も修繕費や指定管理料を含め年1億円程度の経費が想定される。1971年の開館時に比べ、高崎芸術劇場や桐生市市民文化会館といった大型ホールが各自治体にでき、6月にはGメッセ群馬(高崎市)がオープン。費用対効果や類似施設を巡る環境の変化、県民負担を考慮する中で廃止検討の対象になった。

■174億円不足

 県有施設の在り方を抜本的に見直す背景にあるのが財源の問題だ。歳入歳出に関して県が10月に公表した「中期財政見通し」は、今後5年間で年最大174億円の財源不足が生じると推計する。

 不足分は財政調整基金の取り崩しや県債発行などで補うことになるが、新型コロナウイルスが経済活動に及ぼす影響で税収が減り、不足額は拡大する可能性がある。コロナ対応へさらなる財政負担も想定される。

 県有施設の見直しについて、前橋工科大の堤洋樹准教授(建築学)は「施設の存続には耐震問題が見過ごせず、費用の捻出が難しいのが現状。古い施設を保有しきれない状況は全国的な課題で、県は思い切った判断をしたといえる」と分析している。

◎代替ない施設 どう判断
 県が中間報告で廃止を検討する方針を示した6施設には、県ライフル射撃場(榛東村)など代替のきかないスポーツ施設が含まれている。県議会行財政改革特別委員会は10月、見直し対象の10施設を調査した。

■存続訴え

 1981年に整備された射撃場は老朽化し、今後10年以内に改修や耐震化工事が必要だ。国民スポーツ大会(国体)などの開催基準を満たすための建て替え費用は約9億7000万円、現状維持の最低限の改修でも約9800万円が見込まれる。

 年間利用者数が1000人程度と競技人口が少ないことも廃止の検討対象となった要因。県は射撃場を持たない東京都の例を挙げ、練習環境については埼玉県などの施設利用を示している。これに対し、県ライフル射撃協会の岡田栄三会長は視察に訪れた委員に施設存続の必要性を訴え、「国体などのライバルがいる他県での練習は困難」と強調した。

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