直販 消費者の声生かす 桐生の服地メーカー
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アトリエショップで自社製品をPRする須裁の坂入さん

 群馬県の桐生市内の服地メーカーが続々と独自ブランドを立ち上げている。「機屋はたや」と呼ばれる織物業者から、ニット生地製造業者までさまざまな企業が自社商品を開発。消費者の声を直接聞ける直接販売の強みを生かし、縮小傾向が続く服飾市場で販路開拓を進めている。

■若い感性
 1906(明治39)年創業の織物メーカー、須裁(同市東)は、大正末期の建築というのこぎり屋根の工場を改装し、服飾品を製造販売する「アトリエショップ」を開設した。白を基調にした明るい内装の店で、今年立ち上げた独自ブランド「Charrm(チャーム)」の商品を9月から販売している。

 同社は昨年、大阪のアパレルメーカーで商品企画やデザインを手掛けていた坂入歩未さん(同市出身)を迎え入れ、自社製品開発に乗り出した。

 店舗の営業時間は月、水、金、日曜の午前11時~午後5時。現在は4種類のバッグ(3850円~)と帽子(6930円)を販売している。今後は女性服の商品化を目指し、ネット通販の準備も進める。

 須永康弘社長は、商品開発や小売りを通して若い世代の感性を織物製造に取り入れる意図もあると説明。「市内の他社ブランドと刺激し合って若手を育成し、桐生への注目度を高めたい」と期待している。

 坂入さんは「布よりも、洋服や雑貨のほうが桐生織の良さが伝わりやすい。商品にして魅力を発信していく」と話している。

■絹で新商品
 絹製品を企画販売する自社ブランド「SILKKI(シルッキ)」を立ち上げたのは、創業70年の桐生整染商事(同市巴町)。今春始めたマスクのネット通販でブランド戦略をスタートし、9月に洋服商品の第1弾「シルッキパンツ」(2万6400円)を発売した。

 試着会を今月14~16、19、20日の午後5時半~8時半にカフェ参夕さんせき(同市本町)で開く。デザイナーの川上由綺さんは「下着を中心に新商品の開発を進めたい」と意欲を見せている。

■新生児用肌着
 ニット生地製造のテキスタイルしょう(同市境野町)は、国産絹で作る新生児用の肌着ブランド「kinu(キヌ)」を企画。クラウドファンディングで資金を募って立ち上げた。現在は出資者に初回製品を順次発送中で、伊藤伸一社長は「製造業と小売業の二足のわらじで経営安定化を目指す」と話す。

 繊維関連企業の自社ブランド立ち上げについて、桐生織物協同組合の藤生孝昭専務は「地域全体の活性化につながる」と説明。「マスク販売で小売りに参入した企業も多く、ブランド化を目指す会社が増えていくのではないか」と期待している。

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