新井祥子町議が失職 草津で住民投票 賛成過半数 リコール成立
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 

 議会での言動を理由に群馬県の草津町議会で除名処分を受け、群馬県の審決で処分が取り消された新井祥子町議(51)に対する解職請求(リコール)で、新井氏の解職の是非を問う住民投票が6日、投開票され、賛成が過半数の2542票で反対の208票を大きく上回り、新井氏は即日失職した。当日有権者数は5283人(男2645人、女2638人)。投票率は53.66%(男51.76%、女55.57%)だった。

◎「声 しっかりと反映」/「理不尽と闘っていく」
 投票結果を受け、請求代表者の一人である黒岩卓議長は「町民の声がしっかりと反映された結果だ。傷つけられた町や町民の名誉と信頼、イメージを回復するには時間がかかるが、町民と一丸となって努力していきたい」と話した。

 一方、解職となった新井氏は「町長や議長が主導し、圧力的な活動が行われた結果だ。これが本当に民意を反映した住民投票なのかは疑問が残る」と述べた。今後は中沢康治町議が立ち上げる会派に協力し、政治活動を続けると説明。「不透明な議会運営を改革するためにも理不尽と闘っていく」とした。リコールへの異議申し立てなども検討するという。

 リコールを巡っては、新井氏が昨年11月、「町長室で黒岩信忠町長と肉体関係を持った」などとする告白文を電子書籍に掲載。同年12月の町議会で「議会運営を混乱させた」などとして除名処分を受けたが、県に不服申し立てし、今年8月に処分が取り消された。

 その後、県の審決を不服とし、除名処分に賛成した町議らが「新井祥子の解職を求める会」を立ち上げ、リコール運動を開始。住民投票の実施に必要な有権者の3分の1を越える3180人分の有効署名を集め、住民投票が実施された。

《解説》早期収束 望んだ町民
 新井祥子町議の解職の賛否を問う住民投票は賛成が過半数となり、失職が決まった。発端となった新井氏の告白の真偽が不明な中、町全体を巻き込んだ騒動に対し、多くの町民が早期収束を望んだ結果と言える。

 解職請求(リコール)を主導したのは黒岩卓議長をはじめ多くの町議らだ。住民投票実施を求めた署名活動には200人以上の町民が加わり、2週間余りで有権者数の6割超の署名を集めた。黒岩信忠町長も運動に参加し、町の主流派が結束した“組織選挙”の様相を呈した。

 議会での新井氏の発言には疑義もあり、不信感を募らせた町民は多い。一連の騒動が議会の停滞につながったのも事実だ。ただ、今回の議会の姿勢には、高崎経済大の増田正教授(政治学)が指摘するように「権力側による排除」との見方もある。リコールが本来、市井の有権者が権力者の暴走を止める最終手段との観点に立てば、今回の手法に行き過ぎとの声が上がってもやむを得ないだろう。

 黒岩議長らは「町の傷ついたイメージを回復し、町の発展のため」と繰り返した。観光業に頼る町経済は、新型コロナウイルスの影響で打ちひしがれている。住民投票で民意を勝ち取ったとするならば、町と町議会は、今度は町民を向き、運動を通じて訴えた“公約”を実践すべきだ。(桜井俊大)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事