ウィズコロナ 変わる風景 観光の苦境 関連業者にも波及
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2月までイチゴ狩りの中止を決めた天田さん

 新型コロナウイルス感染症の流行前は、多くの観光客が行き来し、群馬県内の温泉地やレジャー施設も大勢の人でにぎわった。しかし、コロナ禍では人の移動が制限され、観光関連産業にとっては厳しい状況が続いている。

■声聞けず「寂しい春」
 多いときで1日100人超のイチゴ狩り客が訪れるという高崎市の「天田農園」。昨年12月以降、県内や東京圏での感染拡大を受け、今年1、2月のイチゴ狩りの受け付けを取りやめた。感染状況を見て3月以降、県内の家族連れや保育園などの受け入れを再開する予定だ。天田尚二郎社長(73)は「楽しみにしている人もいるので苦渋の決断だった。(新型コロナウイルス感染の)波が落ち着くまでは仕方ない」と苦しい胸の内を明かした。

 例年は5月末まで営業を続けているが、昨シーズンは感染拡大に伴い、4月から臨時休業を余儀なくされた。イチゴ狩りで摘まれずに残ったイチゴをパック詰め販売や量り売りに切り替え、売り上げの落ち込みを抑えたが、天田社長は「観光客から直接『おいしかった』という声を聞くことができず、寂しい春だった」と振り返った。

 観光分野の不振は旅館や飲食店、さらには関連の業者にも波及している。旅館やホテルなど県内の宿泊施設での清掃やビルメンテナンスを担うコスモクリーン(沼田市)。担当者は「宿泊施設とは共存共栄の関係。予約のキャンセルが増えれば仕事も減ってしまう」と表情を曇らせる。

■清掃事業 昨年5月ほぼゼロ
 昨年4月に発令された緊急事態宣言を受け、水上温泉や老神温泉といった取引先の宿泊施設は同月下旬以降に相次いで休業した。旅館やホテルでの清掃事業の売り上げは同月に前年同月の約3割に減少し、5月にはほぼゼロにまで落ち込んだ。

 県の愛郷ぐんまプロジェクト「泊まって! 応援キャンペーン」や国の観光支援事業「Go To トラベル」の効果もあり、7月以降は平常時の9割超まで売り上げが回復したが、12月に再び感染者数が増加し、県の指針に基づく警戒度が「4」に引き上げられたことで、受注は再び落ち込んでいるという。

 観光関連産業が息を吹き返すには、同社は「ワクチンの普及が不可欠」と見るが、見通しは不透明なままだ。担当者は「外出自粛の状況が続けば、会社の経営状況はだんだん厳しくなる。早く安心して旅行ができる環境に戻ってほしい」と願いを込めた。

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