農業現場に障害者の力 収穫や除草、出荷で「農福連携」 3JA窓口
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 農業の労働力不足を背景に、障害のある人が農業の現場で働く「農福連携」が群馬県内で広がっている。甘楽富岡、佐波伊勢崎、はぐくみの三つのJAが農家からの相談を受け付ける窓口を設置しており、収穫や除草、JA選果場の作業などで、福祉事業所への作業委託が増えている。県の出先機関も独自にマニュアルを作成し、JAや福祉関係者と連携して導入を支援する。

 作業依頼の共同受付窓口がある県社会就労センター協議会(前橋市)によると、2015年度に2件だった受注は昨年度、66件まで増加した。本年度は新型コロナウイルスの影響で一時滞ったが、昨年度と同水準か上回る見通しとなっている。

 県は18年度から農家やJAに、農作業委託に必要な農具や資材の導入経費を補助。出先機関の農業事務所も独自支援に力を入れる。先行して取り組んできたのが、高崎市や富岡市などを管轄する西部農業事務所(高崎市)。同協議会と連携して18年度11件、昨年度22件の契約に結び付けた。

 藤岡市の農家、太田宗秋さん(67)は昨年10~12月、同事務所の紹介を受け、埼玉県神川町のコンニャク畑で初めて農福連携に取り組んだ。連日、障害者3、4人と指導役の施設職員1人が、収穫前に枯れた茎葉を熊手でかき集めた。太田さんは「本来の掘り取り作業に集中できるのでありがたかった」と話す。

 作業に当たったのは、同市の障害福祉サービス事業所さくらの家の利用者。普段の仕事はチラシ折り込みなどの内職や園芸が多く、管理者の小暮正樹さんは「新たな仕事の開拓が難しい中、良い話を頂いた。利用者も張り合いを持っている」とする。

 JAの相談窓口は18年度に甘楽富岡、19年度に佐波伊勢崎が設置。本年度はJAはぐくみが開設し、「人手不足の相談が多く寄せられている」という。

 JAたかさきのトマト選果場では、19年度から出荷用の箱作りの一部を障害者が担う。JAたのふじも同様の取り組みを近く始める予定。

 同事務所は依頼の手順、障害者が働きやすい環境整備などをマニュアル化。担当者は「農業は季節で作業量が大きく変わるが、農福連携は必要なときに必要なだけ手伝いができる」と勧める。その上で「現在受注している事業者は手いっぱいとなってきており、多くの福祉関係者に周知したい」とする。

 《農福連携》 人手不足の農業と、働く場を求める福祉が連携して双方の課題解決を目指す。働くのは主に知的、精神障害者。作業はコンニャクやウメの収穫、野菜畑の除草など。数日で終わる仕事もあれば、数カ月続く場合もある。

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