《NEWSインサイド》男性の育休 進まない取得 子育て参画 道半ば
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「休みを取りやすい雰囲気をつくっていきたい」と話す桐生信用金庫の青木俊さん

 男性の育児休業の取得が進まない。地方公務員の2019年度の育休取得状況で、群馬県と県内市町村に勤務する男性職員の取得率は、それぞれ全国平均を下回った。子育てへの参画を促して意識を向上させようと、県は本年度、職員に計画書を作成してもらう取り組みを始めている。県民意識調査では男性も積極的に育休を取得すべきだと考える人の割合が増えており、官民を問わず、子育てしやすい職場環境の整備が求められている。(金子雄飛)

■ 1カ月以上
 「家族との貴重な時間を過ごせた。何より、子育てに自信を持つことができた」。昨年長女が生まれ、育休を取得した群馬県人事課の深津昇平さん(34)は振り返った。今月中旬までに、育児に関する複数の制度を利用して計1カ月以上の休みを取得。沐浴もくよくや授乳などに取り組みながら、産後の子育ての大変さを実感したという。

 群馬県は昨年4月、「県職員の女性活躍推進・子育て応援プラン」を策定した。男性職員の計1カ月以上の育児に伴う休暇や休業の取得など3項目について、23年度までに100%達成を目標とする。妻が出産を控える職員に対し、産前・産後のスケジュールや、休み中の業務分担などを記入する「子育て計画書」の提出も求めている。

 総務省の調査によると、19年度の県と県内市町村の男性職員の育休取得率は、県が3.6%、市町村が9.3%で、それぞれ全国平均(都道府県5.5%、政令市を除く市区町村9.7%)を下回った。

■職場格差
 県の取得率を組織別に見ると、知事部局・企業局・病院局が10.3%、群馬県教委が2.5%、群馬県警が0.6%。職場環境によって格差が生じており、働き方改革は道半ばといえそうだ。東毛地域の高校に勤める男性教員は「担任を持っていると、数カ月単位の休みは言い出しにくい」と打ち明ける。

◎いまだに残る「取りづらさ」 職場改善 行政が後押しへ
 一方、県が19年度に行った男女共同参画社会に関する県民意識調査で、全体の32.9%(男性33.7%、女性32.1%)が男性も育休を積極的に取得すべきだと回答し、5年前の前回調査を14.2ポイント上回った。男性の育児参画を望む声が高まる半面、「取得する方が良いが、環境が整っていない」との回答が最も多く、59.4%を占めた。取得しない理由は、「取りやすい雰囲気がない」や「周囲に迷惑がかかる」が多かった。

 男性の育児休業取得を促進するため、県は経営者や管理職を対象にした講演会を主催するほか、従業員の育児や介護を支援している企業を「いきいきGカンパニー」として認証している。業務の効率化や人材確保の観点からも、企業は就業規則や職場風土の改善を急いでいる。

■イクボス養成
 「配偶者の産前・産後に半ば強制的に休みを取ってもらっている」「うちは(育休取得が)進んでいない」。10日、県がオンラインで開催した「イクボス養成塾」で、参加者が各社の現状について情報交換した。部下のワーク・ライフ・バランスに配慮できる「イクボス」の在り方を学ぼうと、企業の経営者や人事担当者ら計39人が受講した。

 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さん(58)が講師を務め、残業を減らし、業務内容の共有を進めている企業の取り組みを紹介した。父親が子育てに積極的に関わることで、児童虐待防止や職場の生産性向上など、社会にさまざまな好影響があると説明。「短い休暇だと、本人が前後に残業すれば何とかなってしまう。組織力向上のためにも、長期間の休業にチャレンジしてほしい」と呼び掛けた。

 県は2015年、いきいきGカンパニー認証制度を創設した。育休に関する制度を社内規則で定めていることや、過去に法令違反がないことなどを要件として、1月末時点で企業と事業所計1032件を認証している。認証された企業は求人でPRできるのをはじめ、公共工事などの入札参加資格で加点を受けられる。

■企業認証制度
 国が子育て支援企業を認証する制度「くるみん」や、さらに要件が厳しい「プラチナくるみん」の取得を目指す企業も増えつつある。昨年は、高崎信用金庫と桐生信用金庫がプラチナくるみんに認定された。高崎信金は、配偶者の出産に合わせた休暇の取得率100%を達成。「ノー残業デー」も設定している。

 桐生信金は、未就学児がいる職員の残業を免除する制度などを整えた。近年は就職説明会で、学生から福利厚生についての質問を受ける機会が増えているという。昨年12月に育休を取得した同信金の青木俊さん(33)は「仕事の効率化を考えるようになった。後輩が取りやすいように、体験を伝えていくことの重要性を感じている」と力を込めた。

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