学校の防災水準、群馬県内達成は12市町村 教員の人手や専門性課題
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 東日本大震災の津波で宮城県石巻市立大川小の児童74人が犠牲となったのを発端に強化された学校の防災水準を達成しているのは群馬県内で12市町村と3分の1にとどまることが28日、共同通信のアンケートで分かった。ハザードマップが示す危険区域や想定規模を超える災害にも手厚く備えるよう求める水準で、現実的に対応可能か戸惑う自治体が多い。教員の人手不足や専門性不足が課題で、取り組みに時間がかかっている実情が浮かび上がった。

 12市町村は高崎、桐生、沼田、館林、安中、吉岡、上野、下仁田、南牧、片品、玉村、明和だった。35市町村のうち榛東、神流、長野原、嬬恋、草津、昭和、板倉の7町村は回答がなかった。

 対応の難しさを感じる点(複数回答)の最多は「ハザードマップを超える災害の想定」の24市町村だった。課題として挙がったのは、災害対応に詳しい教員ばかりではなく完全な備えは難しいという声だ。伊勢崎市は「管理職に要求される防災知識が非常に高度」、みどり市は「求められた防災機能は今の学校施設予算で実現できない」とした。

 水準を達成していると答えた自治体でも「複数の避難経路を設定しにくい学校や、家庭や地域との連携が難しい規模の学校がある」(安中市)、「マニュアルを毎年見直すが、異動があり地質地形の共通理解には至っていない」(南牧村)といった問題意識を持っていた。

 「災害に強い地域だと考える教職員が多く、意識が高まっていない」(前橋市)という指摘もあった。

 アンケートは昨年10~12月、全国1741市区町村に実施。期限内に1469市区町村が答えた。うち46%が達成、20%が見直し中、25%が今後見直し、8%が予定なしと答えた。

 大川小の遺族による訴訟で、仙台高裁判決(2019年10月確定)は、事前の防災体制に不備があったと学校側の責任を認定。校長らは児童の安全のため地域住民よりはるかに高度な防災知識を習得していなければならないと指摘し、詳しく検討していれば被害を予見・回避できたとした。

 判決によると、大川小があった地点は震災前、石巻市の津波ハザードマップで浸水予想区域に含まれず、避難場所に使用可能とされていた。

 文部科学省は同年12月、ハザードマップを超える災害に備えて複数の避難場所や経路を確保することなどを都道府県などに通知した。

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