輸入規制で県内企業・生産者 オンライン商談販路開拓に活用
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ジェトロ職員(左)が見守る中、オンラインで商談する香港のバイヤーと県内の食品企業=4日、ジェトロ群馬貿易情報センター

 東京電力福島第1原発事故後、各国が導入した日本の農畜産物や食品の輸入規制は発生から10年たった今も15の国・地域で続き、群馬県内の企業や生産者の海外進出の足かせとなっている。新型コロナウイルスの感染拡大で人や物の移動が制限されたことも逆風に。一方で、オンライン商談を活用する動きが広がりつつあり、海外の販路をひらくための模索が続く。

 「台湾で売れればいいのだが…」。こんにゃく加工品を販売する北毛久呂保(昭和村)の兵藤武志社長は歯がゆさをにじませる。同社はこんにゃく焼きそばなどを香港やシンガポールでも販売。台湾ではこんにゃくのニーズは高いため進出したいが、輸入規制が立ちはだかる。

 震災後、最大54の国・地域が日本産や特定の都道府県からの農畜産物や食品などの輸入を規制した。規制は徐々に解除され、今年1月時点で15の国・地域にまで減っているもののいまだに付きまとう。

 例えば、日本産食品の世界一の輸出先である香港は本県を含む4県の野菜や果物、乳飲料について2018年まで輸入を停止。一部解除されたものの、現在も放射性物質検査証明書などが必要になっている。福島県産の野菜などは輸入停止のままだ。

 県ぐんまブランド推進課は「輸出には検疫などいくつものハードルを越える必要がある。規制があることは他の地域よりもハードルが一つ多いということ。その分後れを取る」と肩を落とす。

 震災10年を契機に輸入停止措置の解除を目指そうと、オンラインを活用した商談の動きも出始めている。日本貿易振興機構(ジェトロ)は、香港への輸出規制が続く北関東3県と千葉県にあるセンターと、香港事務所が連携する食品展示やオンライン商談会を2~3月に企画した。

 中国やカナダなどに販路があり、本県企業ともやりとりする食品商社の三山グリーン(千葉県船橋市)の須田祐輔営業本部長は、コロナ禍で普及が進んだオンラインの可能性に言及。「海外バイヤーと企業の距離が縮まった。規制が解除されたとき、すぐに売り込めるように輸出のケーススタディーを増やすことが重要」と強調している。

◎香港を足掛かりに
 香港は本県にとって重要な輸出先で、2019年の県産農畜産物や食品の輸出総額のうち約15%を占める。県は県産食品の多くを輸出できない中国や台湾との往来もある香港を販路拡大の足掛かりにしたいともくろむ。

 昨年2月に現地の飲食店で県産食材を使ったメニューを提供するフェアを開催。新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされたが、本年度にも山本一太知事が直接出向いて売り込むトップセールスを予定していた。

 ぐんまブランド推進課は「新型コロナで今後の見通しは立っていない。オンライン商談のメリットも踏まえ、効果的な方法を検討したい」としている。

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