《一票の先に 衆院選2021》(1)コロナ対策 医療体制どう改善されるか 十分な報酬、保証なく
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来場者が接種を受ける新県央ワクチン接種センター。県営の県央センター(高崎市)の閉鎖に伴い、3日に開設された=前橋市

 衆院選が公示された。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、医療体制や経済は先行き不透明な状況が続く。少子高齢化をはじめ、置き去りにされた問題も山積している。一票を託したその先に、光は見えるのか。最善の選択へ、有権者は厳しいまなざしを注いでいる。

 「この1年半、まとまった休みは取れていない。使命感だけでやってこられた気がする。政府の方針が変わらなければ、第5波のような波が来たときに同じことができるか自信はない」

 新型コロナが指定感染症となった昨年2月以降、発熱外来の設置をはじめ中等症の入院患者まで受け入れてきた黒沢病院(高崎市)の内科医長でコロナ対策室長、錦戸崇医師(44)は打ち明ける。

■情報開示を

 国内で陽性者が初めて確認されてから約1年9カ月。その間、感染拡大のたびに改善を求められながらも、国による社会全体、医療全体の体制構築は進まなかった。

 同病院の発熱外来の受診者数は、陽性者の増加に比例した。昨年2月~今年3月の総受診者は3453人で、うち陽性者は136人。だが、今年4~5月の受診者は計1153人、陽性者は149人に上った。最も感染が広がった第5波に受け入れた入院患者は計86人。12床用意したベッドは常に稼働している状態だった。

 隔離病棟を整備し、陰圧装置を設置。感染対策の再教育を実施するなど万全の態勢で臨んだが、自身が感染したり、院内でクラスター(感染者集団)が発生したりするのではないかと、不安は尽きなかった。

 医療従事者の感染や、院内感染に伴う国からの支援については、「十分な報酬と補償がないままに、対応を求められていた感じを受ける」。発熱外来やコロナ診療に応じる医療機関が増えなかったのは、そのためだと分析する。

 さらに、昨年の国の観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーンは、感染拡大防止に対する国民の意識に多少の緩みをもたらしたと考える。「収束前からの実施は、感染を防ぐ観点からすると間違いだ。国民への説明不足も不安や分断、差別を生むきっかけになったのでは」とみる。

 今回の衆院選で、新型コロナ対策は最大の焦点だ。補償の仕組みや医療体制はどう改善されるのか。「医療は住民が安心して生活できるインフラ。にもかかわらず、今回はその前提が崩れた。現在進行形の感染症に対し、そのたびに総括、評価をして次の対策を講じてほしい。そしてもっと情報をオープンに」と願う。

■3回接種検討

 後手に回る新型コロナ対策だが、国の施策として評価されているのがワクチンの無料接種だ。開始時期こそ他国に後れを取ったが、一時は供給が追いつかないほどのペースで接種は加速した。県は、県全域を対象とする県央ワクチン接種センター(高崎市)と、当初は東毛地域を対象にした東毛ワクチン接種センター(太田市)を設置して、接種を促進。20日現在、全国で2回接種が完了した人は総人口の68%。本県では対象者の約8割が接種を完了した。

 国は各国の状況をみながら、2回接種後の「ブレークスルー感染」に備え、年末にも3回目の追加接種を始める方針。だが、みどり市のパート、森田好子さん(67)は少し疑問を抱く。「希望する若者の接種が終わっていない。せめて全ての希望者が1回目を打ち終わった後にしてはどうか」

 一方で、3回目を打ちたい気持ちもある。勤務する物流センターの従業員は100人以上。外部の人の出入りも激しい。「高齢だと感染したら重症化する可能性が高いので怖い」と複雑な表情をのぞかせた。
(まとめ・臂真里緒)

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